中学生、網漁と調理実習 —二丈—
真夏の日差しが照りつける、糸島市二丈の深江観光ホテル前の浜辺で3日、福岡市の中村学園女子中学校の食育授業の一環として、漁業(地引網)体験が行われた。参加したのは同校1年生の23人。「調理して食べる」だけではなく「とる」ことから始まる授業は、命の恵みに感謝し、食の大切さを学ぶ、実り多い一日となった。
地元の漁師たちが沖合からゆっくりと網を引き寄せ、最後は生徒たちが浜に並び、足を踏ん張って力いっぱい綱を引きあげた。銀色のうろこが日差しにきらめくと「うわぁ!アジが大漁!タイもいる!」と大歓声。生徒たちは跳ねる魚を次々と手づかみでコンテナに入れた。アジを中心に、キス、タイ、ブリなど多様な魚がびちびちと跳ね「360キロくらいはいったかな」と漁師も笑顔を見せる今季一番の大漁となった。
続いて、同ホテルの大神信次さん(53)の指導のもと、アジを1人1尾ずつ三枚におろす作業に挑戦した。おろしたアジはその場で炭火焼きに。香ばしいにおいが海風に乗って広がり「自分で捌(さば)いた魚は格別!」と笑顔で味わった。

今回の体験には、もう一つ大切なミッションがあった。「イカが取れたら、翌日に理科で解剖実習を行う」というもの。網には見事、イカが4匹入り、生徒たちは大事に持ち帰った。翌日には、自分たちで取ったイカを用いて解剖実習に取り組み、軟体動物の体の仕組みを学んだ。さらに、地引網で取れたタイやアジは「お土産」として学校に持ち帰られ、翌日の中学全体の給食メニューとして提供された。
生徒たちからは「生きた魚を触ったのも、三枚おろしも初めてだったが、できてうれしかった」「いつも食べている魚がどうやって取られているのか知ることができ、それぞれに漁師さんの思いが込められていると分かった」とたくさんの感想が寄せられた。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)