新聞や雑誌に星占いが載っていると、つい目が向いてしまう。今、西洋の占星術で重要な意味を持つ天体現象が起きているという。今月18日から8月11日まで続く水星の逆行。日ごとに夜空を観測すると、水星を含む惑星は恒星の間を西から東へと動いているように見える。ただ、東から西へ逆戻りするように見える時期がある。これが逆行だ▼実際に惑星が逆方向へ動くのではない。地球とほかの惑星が異なる速度で太陽を回っているために生じる錯覚だ。惑星は規則的に太陽を周回しており、中心にある太陽から見ると、どの惑星も後戻りすることはない。ただ、太陽から離れ、自らも動いている地球からだと、ほかの惑星の動きはふらふらとして見える▼英語で惑星を意味するPlanet(プラネット)の語源はギリシャ語の「さまよう人」。それが日本では「惑星」という言葉になった。さまざまに不規則な動きを見せる惑星だが、星占いでは水星の逆行をどうみているのか。あくまでも非科学的なものであることを前提に調べてみた▼占星術では、水星はコミュニケーションや情報をつかさどるとされる。水星が逆行すると、その力はマイナスへと向き、意図しない事態が起きることがあるという。ただ、それも受け止め方次第。順調に事が進まない時期に入ったのなら、いったん立ち止まり状況を見直す機会にすればいい▼ホルスト作曲の「惑星」で、水星がどのように表現されているのか聴いてみた。平原綾香さんが熱唱する「Jupiter(ジュピター)」でもおなじみの組曲だ。第3曲として登場する水星は木管楽器やバイオリンなどでリズミカルに演奏され、副題には「翼のある使者」。世界最古の文明発祥の地バビロニアでは、水星を「飛び跳ねるもの」という言葉で表したとされ、水星の英語名のMercury(マーキュリー)はローマ神話の俊足の神に由来する。元気に駆けていたかと思うと、時には退いてみせる。その動きを「巧み」と捉えると、水星逆行の受け止め方は、また違ったものになるだろう。
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