【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.131(8/1号掲載)

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野菜の育苗特集 パート1

 この時期になると、各地の直売所では販売される野菜が少なくなってきます。特にホウレンソウやキャベツ、レタス類などの葉物野菜は、気温が低い高冷地以外では栽培が難しいですからね。35度を超えるような平野部では、そう簡単に生育しません。

 全国の農産物を販売するスーパーなどは、品ぞろえが豊富ですが、連続した高温乾燥による作物の生育低下、突然のゲリラ豪雨などでの株の痛みなどで、流通量も増えず、価格も高めで推移しているようです。また、昨年の初冬から年末、ハクサイやキャベツなどの価格が高く推移したのも、苗定植期である9月~10月の高温乾燥が続いたことが要因の一つとなっています。

 8月は、キャベツやブロッコリー、カリフラワーなどの育苗がスタートします。そこで、今回と次回、秋冬野菜苗の育苗をご紹介します。

 秋冬野菜の苗は、JAや園芸店、ホームセンターなどで8月中旬頃から店頭に並び始めます。9センチポットサイズ苗で立派に育ってはいるものの、少し割高感があります。それは、トマトやナス、ピーマンなどの春夏野菜では1ポット100円であっても、1株からたくさんの実を長く収穫できる楽しみがありますが、秋冬野菜のキャベツ、ハクサイなどは大きく結球した株を収穫するとそこで完結。なので、今年は、種から育てる育苗にチャレンジしてみませんか。

 苗育苗の特長をわかりやすいように列記してみました=表。やはり、水やりや害虫対策など、日々の管理をどうするのかが一番課題ではありますが、何事も実践ありき。

 まず準備するのは
  ◎種まき専用培土
  ◎水稲育苗箱
  ◎セルトレー=セルは穴(cell)を意味し多数の小さなポットが連結した構造をしています。各セルは独立しており、根が絡み合うのを防ぎ、苗の健全な成長を促します
  ◎不織布(防虫対策)
  ◎野菜種子。
以上の5資材。

種まき専用培土
水稲育苗箱(左)とセルトレー

 種まきは、8月上中旬にキャベツやブロッコリー、カリフラワーなどから開始。続いて、カツオ菜や三池高菜、極早生ハクサイ、レタス類と続いていきます。

 次回、パート2では、種まきの手順などを解説します。

 今年の夏も、連続した厳しい暑さが続きそうです。秋の野菜栽培は「一日種まきが遅れると、一週間収穫が遅れ、一週間、種まきが遅れると一カ月収穫が遅くなる」ということわざがあります。日が短くなり、朝晩の冷え込みが進み、生育が鈍化していくことを表しています。しかし、近年はどうでしょう。猛暑日が続き、夜温も下がりにくくなっています。

 自分で育苗することで、播種のタイミングや管理方法が見えてきます。この経験は、きっと栽培全体を通して、強い味方になってくるのではないでしょうか。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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