西日本新聞セレクトモール
アーティスト、大川博さんによる本紙の風景画連載「糸島八景」で、「街道と海道が交差する糸島」をテーマにした作品販売が西日本新聞セレクトモールで行われている。インターネットで通販が楽しめるショッピングモールで、電話でも受け付けている。

電子ペンで描いたデジタルペインティング。今回は、夏雲が湧き上がったり、夕日に照らされたりした可也山を中心とした風景を描いた9枚の連作。
デジタルペインティングをリトグラフ風に仕上げて額装。
100枚限定でエディションナンバーをつけ、落款を押している。
《価格(税込)》
1枚(額装)送料込み …1万2千円
4枚セット(額装は1枚のみ)…3万5千円
9枚セット(同) …7万2千円
ご購入の申し込み
西日本新聞セレクトモール
電話 092(558)8127(平日午前10時~午後5時)
※電話によるお申し込みは9月2日以降
URL セレクトモールのウェブ
―街道と海道が交差する糸島―
1 夜明け前

夜明け前の世界。
空と海と大地の境界は、まだ朧で、
可也山の稜線も深い藍に沈む。
ただ一つ、天に輝く星、
静寂のなか、すべての命の鼓動を呼び覚ます。
2 帰帆(きはん)

漁を終えた小舟が、海を割って帰ってくる。
朝の光が玄界灘を白く染め、
静かにゆれる潮の上に、風の音だけが渡る。
日常の営みと、漁の無事の祝福が交差する、糸島の朝。
3 晴嵐(せいらん)

緑の田園が目覚め、
海は空を映して、いよいよ深くなる。
空気は澄み、風は若く、
何も起こらぬことの、確かな幸福。
4 雲林(うんりん)

湧きあがる雲は、空を曇らせてゆく。
やがては、静寂のなかにある山を包み、海を覆う気配。
空気は湿り、光は褪せ、
見えぬ風が、嵐の気配を密やかに運んでくる。
大地が、嵐の記憶を思い出そうとしている。
5 遠雷(えんらい)

玄界灘の向こうで、雷がひそかに鳴る。
可也山は深い墨色に沈み、
空は息をひそめるように、低く重い。
大地の奥から響く、記憶のような音。
稲妻は一瞬、過去と現在を貫いて走る。
6 嵐雲(らんうん)

暗雲立ちこめる空の下、
ただ一点、九州大学のあたりだけが
光に包まれて輝く。
嵐が過ぎ去ったとき、最初に灯がともる場。
歴史を越えて、未来を切り拓く者たちへの
静かな讃歌。
7 光明(こうみょう)

雲間から差し込む幾筋もの光。
空は澄み、海はその色を深め、
可也山の影は黄金に縁取られる。
陽光は世界に等しく注ぎ、
古代の道も、今日の暮らしも、同じように照らす。
8 夕照(せきしょう)

空が橙色に染まり、世界は柔らかく溶け始める。
田園に長く伸びる影の中を、
一羽のカラスがゆったりと山へ帰る。
生と死、此岸と彼岸、
境界を越えて飛ぶ鳥の姿が、
静かなる終わりの時を告げる。
9 秋月(しゅうげつ)

満夜の帳が静かに降り、
水面には秋の月が凛として浮かぶ。
星々は天と海をつなぎ、
可也山はその中心にひっそりとたたずむ。
静寂は音を孕み、
闇は光を隠している。