【糸島市】生活、観光、経済活動…影響広がる

県道54号線通行止めから3週間過ぎる

 サンセットロードの愛称で親しまれ、糸島市の人気観光スポットである二見ケ浦周辺の海辺を巡る県道54号が、大雨による土砂崩れにより全面通行止めとなって3週間以上が過ぎた。福岡県土整備事務所前原支所は、今月中の片側通行での通行再開を見込んでおり、二見ケ浦周辺では「通行止め」と書かれた看板の前でUターンする車が後を絶たない状況だ。周辺の飲食店や地元住民に、影響を聞いた。

□地元住民の生活に影響

 糸島市は、地元住民の「二見ケ浦までのう回路としてカーナビに表示されるのか、行政区内の生活道路に県外ナンバーの車とか、観光客のものと思われる車が入ってきている。狭い道なのにスピードを出していて危ない」との声を受け、県と協議。8月中旬のお盆明けから、う回路となっている道路の入り口や道沿いに「スピード落とせ!」などの看板を複数カ所に設置。市はホームページなどで「安全のため、桜井二見ケ浦へは、福岡市側の海岸線からお越しください」と呼びかけている。

う回路となっている道路の道ばたに立てられている「スピード落とせ!」の看板

 地元行政区の男性は「実際に接触事故も起きていて苦情も出ているので、通行止めの一日も早い復旧を願っている」と困惑した様子で話した。

□観光客問い合わせ急増

 影響は観光客にも広がっている。糸島市観光協会によると、通行止め以降、電話や窓口での問い合わせが急増。「糸島観光といえば二見ケ浦と思う人が多いようで、そもそも『今、糸島に行けますか』と尋ねられることも多かった」という。

 8月末に茨城から二見ケ浦を訪れた20代の専門学校生は「きれいな海辺の道を車で走って糸島半島を巡ってみたかった」と残念そうに語った。

 福岡市中心部と二見ケ浦を結ぶ高速バス「ウエストコーストライナー」や西の浦線は、夫婦岩まで徒歩10分の「パームビーチ」に臨時バス停を設け、1日に運行を再開。芥屋と西浦を結ぶ「糸島サンセットライン」は全便運休が続く。昭和自動車(佐賀県唐津市)は「解除されれば、一日も早く運行を再開したい」としている。

□二見ケ浦の地元店打撃

 二見ケ浦を臨む焼き菓子と雑貨の店「リノカフェ」は、8月10日の豪雨の影響で建物に被害が出て、カフェ営業を休止している。「夏休みのにぎわいが一変し、人通りのない景色で夏休みと思えない」と経営する社会福祉法人のぞみの里の吉村一乃主任。「焼き菓子製造や店舗を手伝う利用者さんの職場復帰や、店舗再開を待ってくれているお客さんのためにも、一日も早い復旧を望んでいる」と切実な思いを語った。

反り返った床板を示す吉村さん

 同店は裏山から大量の雨水が敷地に流れ込み、更衣室や備品類が水浸しに。数日後にはカフェの床板が反り返る被害が判明。営業再開を断念せざるを得なかった。

 幸いにも焼き菓子を製造する厨房は無事だったため、伊都菜彩への納品やふるさと納税など通販対応を17日から開始したが「床の全面張り替えと道路の復旧と、どちらが早いだろうか」とため息を漏らす。

 一方、県道567号線から二見ケ浦へ向かう伊牟田の交差点前には「この先通行止め」の看板が並ぶ。交差点から二見ケ浦へ向かう道沿いの「つまんでご卵直売店 にぎやかな春」もお盆のかき入れ時に直撃を受けた。小川裕也店長は「客数も売り上げも2~3割減」と肩を落とす。例年は観光客などで大渋滞するルートだが「平日並みの車通り。レジでは二見ケ浦への行き方を何度も聞かれる」と話す。「お客さんのためにも店の経営のためにも、せめてお彼岸までには復旧してほしい」と願いを込めた。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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