【糸島市】“九大生が聞く!!ビジネス最前線 in糸島”医療機器開発の人材を育成

株式会社オートシステム㊦  代表取締役社長 徳安 健司さん(50)

 このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで事業活動をしている企業や団体を取材し、その魅力を紹介します。芸術工学府修士2年、北垣玲音が前回に引き続き、糸島市志摩の工場で高品質の医療機器を設計・製造している株式会社オートシステム代表取締役社長、徳安健司さん(50)に、従業員がより働きやすくなるようにするための改革などについてお話をううかがいました。

徳安健司社長(右)と装置・医療事業部事業部長の宇野涼太さん

-医療機器の設計に携わるなど、高い技術を持つ人材がおられますが、どのように育成されていますか。

 「新卒の社員に、いきなり設計を任せることはなく、まずは、現場での経験を通じて製作の基本を学んでもらいます。その過程で設計のセンスがある人は『こうした方が良いのでは』と、アドバイスしていき、能力を引き出していきます。中途入社の方も、医療機器の設計経験者は少なく、入社後に学びながら成長しています」

-時代とともに育成の変化はありましたか。

 「私が若かった頃には、いわゆる職人仕事として製作が行われていました。しかし、世代交代が進む中、個人の技だけに頼っていては会社にノウハウが蓄積されず、継続的な発展が難しいのではないかと危惧していました。そこで、会社全体でIT(情報技術)によって仕事の質を高めるDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進め、知識を共有しながら組織として力を高められるよう取り組んでいます。」

-志摩工場では、具体的にどのようなDX化を行っているのでしょうか。

 「営業先の管理や今後の分析を可能にするため、各部門に合わせたアプリを作成できるソフトを導入し、業務のデジタル化を進めています。これにより『変えていこう』という前向きな社風が生まれ、従来解決できなかった課題にも挑戦できる体制が整いつつあります」

-社内体制を改善し、設計段階からニーズに応える製品づくりをされていますが、海外展開についてお聞かせください。

 「グローバル化が進み、競争に勝っていくため、2008年にベトナムに進出し工場を設けています。ワイヤーハーネスの量産品の高品質化や低価格の実現のための事業展開をしており、将来的には医療機器の製造も視野に入れています。そして、新しい海外工場の構想も進んでいる段階です」

-実は、人から教えてもらうまで、こんな高度な医療機器を製造している工場が糸島にあることを知りませんでした。

 「そうですね。まずは地元の方々に『糸島にこんな面白い企業がある』ということを知っていただきたい。そしてその認知が採用にもつながればと考えています」

立体撮影台の製造過程

取材を終えて

 地域に根ざした企業として、人材を育て挑戦を続ける姿勢は、次の成長への確かな力になると感じられました。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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