アーティスト 大川 博

山はその地の記憶を抱き、そびえたつ―。澄んだ空のもと、幾重ものうねりを寄せ合う可也山を描いた。それは、ならされたような山肌ではなく、壮大な時の流れによって生み出された襞(ひだ)の連なりのように見える。
山裾の先には、脊振山系の水を集める泉川や長野川が流れ、田畑を潤しながら加布里湾へと注ぐ。作品に描いた河口一帯は近世、干拓によって生まれた土地である。先人たちが一致団結して造成した農地と可也山が糸島の歴史を刻む光景を生み出している。
(アーティスト・大川博)
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大阪で育ち、京都で学び、東京で働く。縁あって、糸島の風景を描く。アート(視覚)、オーディオ(聴覚)、アロマ(嗅覚)を融合化し、没入感をより深める作品を、毎年個展で発表。
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