福岡県原子力防災訓練
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)で重大事故が発生したことを想定した「福岡県原子力防災訓練」が5日、県内各地で行われた。
原発から半径30キロ圏内に位置する糸島市二丈の一貴山・淀川の各行政区では、住民が公民館に集合し、計画に定められた避難先へ移動する広域避難訓練が実施された。

一貴山行政区では、住民20人が訓練に参加。安定ヨウ素剤の配布を受けた後、市が手配したバスや自家用車で避難先へ向かった。現場を視察した服部誠太郎知事は、担当者から避難の流れについて説明を受け、安定ヨウ素剤の取り扱いなどについて住民と意見を交わし、日頃からの備えの重要性を確認した。
避難先の篠栗町民体育館では、退域時の被ばく検査や簡易除染を行い、受け入れ体制を点検。国や佐賀県、長崎県と連携した今回の訓練には、自衛隊や消防など計119機関、約2,740人(うち住民約1,750人)が参加した。
原発から半径30キロ圏内の住民は、原子力災害対策特別措置法に基づき、まず屋内退避を行い、その後の状況に応じて国の指示で圏外の避難所へ移ることが定められている。糸島市も一部が圏内に含まれ、約15,000人(約6,000世帯)が対象。市は「地域防災計画」などに基づき訓練に臨んだ。
一貴山行政区の久我松徳区長(70)は「実際に移動してみて、避難先までの距離の長さを実感した。体育館では個別のテントと段ボールベッドなどを体験し、避難生活の現実を肌で感じた」と話した。
服部知事とともに視察した月形祐二市長は「今回は、新たに国のガイドラインや県の指針に基づいた『モデル避難所』設置訓練を実施した。今後も繰り返し訓練を重ねることで、原子力防災対策の習熟と防災関係者間の連携強化を図っていきたい」と総括した。
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