【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.143(11/7号掲載)

ドクター古藤アイキャッチ

糸島発園芸セミナー ご質問の回答抜粋

 全国を回って栽培技術講習などを行っていますが、久しぶりに地元糸島で10月25日、栽培セミナーを開催することができました。糸島新聞社主催で、本紙での連載を基軸に「秋冬野菜栽培の管理」「タマネギ栽培」をテーマにセミナーを構成。当日は会場がいっぱいとなる35名の方が参加され、いやー盛り上がりました。○×クイズをしたり、リアルな害虫、肥料の使い方の話をしたりする合間に、たくさんのご質問もあり、日頃から一生懸命、野菜を育てておられるのをぐっと感じることができ、最大の収穫となりました。そこで、ご質問への回答の中から、三つを抜粋して紹介させていただきます。

熱心に受講する参加者たち

 Q 落花生を収穫した後、根にたくさんのコブがついていました。どうしたらよいですか?

 A このこぶは根粒菌という空気中の窒素を固定して植物が利用できる形に変え、根に供給する共生バクテリアで、土を肥やす有用な菌です。落花生の茎や葉を、できるだけ細かく裁断し、土にすき込んでください。こうすることで、根粒菌が作った窒素成分が土に還ります。

落花生の根粒菌

 Q タマネギを育てたところ、球の形がラッキョみたいに、縦長になってしまった。なぜ?

 A いろいろ要因がありますが、苗が深植えになると、根張りが悪くなり、球が長方型になりやすくなります。苗が倒れにくいように深く植える傾向があれば、気を付けてください。通常は、深さ2~3センチの浅植えが基本です。

 Q タマネギの土作りに、油粕や鶏ふんなどチッソ成分が多い肥料を入れ過ぎた。大丈夫ですか?

 A 環境がよければ、球太りがよくなる傾向がありますが、チッソ過多はタマネギにとってマイナス面が多く①べと病にかかりやすい②葉が太り勝ちし、球が太りにくい③球に肥料成分が残り、貯蔵性が低くなるーなど生育にとってあまりいい方向には働きません。

 そのほか、多数のご質問を受けました。皆さん、栽培にしっかりと向き合っておられるなと、強く感じました。

 近頃の気温は、朝晩の冷え込みをしっかり感じ、本来の秋らしい気候となってきました。赤く熟れた柿やきれいなオレンジ肌のミカンなどの果樹類をはじめ、新ショウガやカブ、ダイコン、サツマイモなどの根菜類、きれいな深緑でおいしそうなホウレンソウに、柔らかいキャベツ、丸々太ったハクサイなど収穫物が各直売所にたくさん並び始めたようです。

 食料品をはじめ、身の回りのあらゆる用品が値上がりしていく中、知恵を絞りながら野菜を育てることは、食材費が低く抑えられ、安心、楽しみなどといった高い付加価値もあります。

 大人の好きな野菜トップクラスのタマネギ。今から栽培が本格化します。1坪(幅1メートル×長さ3メートル)で約90本のタマネギを育てることができますよ。庭先に少しスペースがありましたら、ご家庭で必需の野菜、タマネギの栽培を始めてみませんか。春が待ち遠しくなりますよ。  

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

糸島新聞ホームページに地域密着情報満載

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次