タマネギ栽培重要ポイント パート2
いよいよ、各JAの店舗や園芸店などではタマネギ苗の販売が本格化する時期となりました。よく耳にするのが「○○さんの畑は、もう苗の植わっとる。うちも急がなぁ~いかん」「お父さん、はよ(早く)植えんしゃい。太らんよ」「苗のなくなるばい」といった声。
タマネギの品種は、農林水産省の種苗登録を検索すると、早生系や晩生型、赤玉種などすごい数に上ります。その中で、春季の気温が高くなる前の3月上旬から収穫が見込まれる超極早生や極早生系品種の栽培が増えているようです。貯蔵性は落ちるものの、サラダで利用できるほどジューシーで甘味があり、病害の発生率も低いのが強みです。苗植込みは、今からスタート。
その後の品種は、4月の収穫で初夏近くまで貯蔵可能な早生系、5月連休前後の収穫で年内貯蔵タイプの中生系。5月中下旬の収穫で、長期保存タイプの中晩生、晩生系と続いていきます。
育てるポイントは、先週お伝えした苗の大きさが重要で、大苗過ぎず、小苗でないこと。次は、土作りと基肥の与え方。酸性土質を嫌うため、石灰肥料を多めに施肥し、土壌の乾燥や膨潤性維持のための堆肥施用。
肥料は、初期生育時に根をしっかり作るリン酸成分、球の肥大化に欠かせないカリウム成分、生育全体に欠かせないチッソ成分などがバランスよく配合された市販の「タマネギ専用肥料」などを利用した方が良いでしょう。
ただし、肥料の入れ過ぎは、球が太るどころか、葉ばかり繁ってしまい、球が二股になる分球、さらにべと病など病害発生の原因となります。逆に、肥料が少なすぎると、ネギ坊主ができる「とう立ち」の原因となります。

タマネギ栽培で重要なのが
①苗の大きさ
②苗定植のタイミング
③基肥の量と成分内容④貯蔵性(品種による)
その他として、生育中、土壌の強乾燥を避けることや病害防除など。

先月、ホクレンが2025年のタマネギの生産量の見通しを発表されました。夏の高温や干ばつの影響で、道産タマネギの生産量の見通しは56万9760トン。平年よりも15%も減る見込みだということです。主産地の北見をはじめ各地で不作に見舞われていて、小玉の傾向で、価格も平年(過去5年平均)の約1.6倍となっているようです。
タマネギは、ご承知の通り、カレーや肉じゃが、天ぷら、サラダなど日常料理に欠かせない重要な野菜です。2017年のデータになりますが、福岡県のタマネギ消費量は1世帯当たり1万8029グラム。1球250グラム平均とすると、約72個利用していることになります。
数字上ですが、タマネギは1坪(3.3平方メートル)に約90個のタマネギを育てることができます。お庭や、使っていないプランターなどをお持ちの方、タマネギ栽培を楽しんでみてはいかがですか。市販の培土が入った袋に穴を空け、そのまま育てることもできます。今から、シーズン突入です。


(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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