抹茶、煎茶、香席のどかに
糸島市二丈田中の国登録有形文化財、椛島家住宅で16日、県民文化祭「県民茶会」が開かれ、約150人の来場者でにぎわった。130年ほど前に建てられ、近代的な和風建築の好例とされる同住宅の落ち着いた風情の中で、抹茶席と煎茶席、香席が設けられ、訪れた人たちはゆっくりとした時間を過ごしていた。
同住宅は1897(明治30)年ごろに建てられ、木造平屋(一部2階建て)の主屋を中心とした建築物。庭は、白砂を高く盛り上げた銀沙灘(ぎんしゃだん)が造られ、「古墳卑弥呼庭園」と名付けられている。
抹茶席は1階の書院造りの広間で行われ、黒田藩の御家流「南坊流」によってお茶が点(た)てられた。おもてなしの後、床の間に飾られた床掛の「神屋(かみや)宗湛(そうたん)行状記」の解説もあり、参加者たちは博多の豪商と糸島の関りに聞き入っていた。日本礼道小笠原流よる煎茶席は仏様をまつったお御堂であり、参加者は煎茶とお菓子でのどかなひとときを過ごしていた。香席は、格式の高い床の間がある二階の広間で行われ、参加者たちは回されてきた香炉を筒状にした手で覆って鼻に近づけ、先に聞いた香りと後に回されてきた香りの異同を聞き当てていた=写真。

実行委員長の椛島禅徹さんは「古民家のたたずまいの中で、晩秋の一日を楽しんでいただけたと思います」と話していた。
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同家住宅は古民家美術館として12月10日まで一般公開され、禅僧の墨跡(ぼくせき)や手鑑(てかがみ)、文人墨客の南画が鑑賞できる。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
