冬季で重要な作業の剪定
本年も残すことあと2週間。今月に入って寒波の影響で急に寒さを感じます。私も試験栽培地などで外の作業を行いますが、陽がさし、風が吹いていないと、寒さも和らぎますが、曇天で冷たい風にあたると、やたら体感温度が下がりますね。体を動かす作業では、多少、体も温まりますが、じっとした生育の観察など細かい仕事はさすがにこたえます。外で農作業を頑張っておられる生産者の方の苦労もよくわかります。
自宅で庭木や果樹などを育てておられる方にとってこの時期、重要な作業が待っています。剪定(せんてい)作業です。剪定には、樹形を整えることで日当たりや風通しを良くし病害虫の発生を防ぐ目的があります。また、花や実のつきを良くしてあげることなど。結果として、大切な木の寿命を延ばすことにもなります。さらに、生え被った木々を剪定によってすっきりした樹形にして新年を迎えることができると、心も引き締まりますね。


この時期が剪定にふさわしい理由はたくさんあります。まずは、剪定の確認場所がわかりやすい。落葉樹は葉を落としているため、枝の構造や全体の樹形がはっきりと見えます。これにより、どの枝を切るべきか見極められ、確認しながら作業を進めることができます。太い枝や幹を大きく切り詰める「強剪定」にも適しています。
次に、病害虫のリスクが低い。冬は多くの病原菌や害虫の活動が鈍化しており、空気も乾燥しており、剪定による傷口からの病原菌などの感染リスクが低く、病害虫の予防にもつながります。また、多少切り込んでも樹木への負担が少ない。冬は気温が下がり、植物の生命活動や樹液の流れが最も低下する「休眠期」に入っており、この時期に剪定を行うことで、植物が受けるダメージやストレスを最小限に抑えることができます。
結果として、春からの新しい成長に備えて不要な枝を取り除き、養分を効率よく蓄えさせるための準備作業となります。春以降の健康な成長と美しい花付き・実付きを促すことができます。
外の作業の剪定は、体も温まると思いますが、くれぐれもケガがないよう、作業を進めてください。
私も、今年、伸びたサルスベリの枝を思い切って剪定いたしました。サルスベリは、毎年同じ場所での剪定を繰り返すと、その箇所が肥大化します。別名「こぶ仕立て」という独特の樹形を楽しむことができ、大きな花をたくさん咲かせやすくなるので、来年の夏が楽しみになります。今が、チャンスです。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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