一年で最も昼が短い冬至が22日に訪れる。すっかり日が短くなり、夏なら夕焼けが見える時刻に、外はもう真っ暗となっている。生命の源である太陽が力を一番弱めてから回復していく転換点であることから、古代中国の暦では、冬至を一年の始まりとしていた▼冬至を指す言葉として「一陽来復(いちようらいふく)」がある。儒教の経典の一つ、易経(えききょう)に出てくる言葉で、陰が極まった後、陽が再び来るとの考えから、悪い運が終わり、幸運に向かいだすとの意味もある。誰にも好不調の波はある。だからこそ、自然のサイクルを人の運気にあてはめ、「いつまでも悪いことは続かず、いい方向に向かうときがやって来る」と信じていれば、ポジティブな生き方ができる▼冬至は、世界のさまざまな宗教や文化で、とても重要な日となっている。イエス・キリストの誕生を祝う12月25日のクリスマスも、実は冬至と関わっているとの説がある。ローマ帝国で広く信じられていた太陽神を仰ぐミトラ教がこの日を冬至として太陽の誕生を祝う日にしたとされ、これがキリスト教に取り込まれたというのだ▼太陽神の天照大御神(あまてらすおおみかみ)をまつる三重県伊勢市の伊勢神宮内宮では、冬至の頃になると、神々しい朝日を拝むことができるという。内宮の宇治橋前にある大鳥居の間に日が昇って来て光を降り注がせる。神聖な日の出に手を合わせようと、大勢の参拝者が訪れる。冬至は人々の心に格別な気持ちを芽生えさせる▼本紙連載の「おけいこ先生の健康イチバン!」の今週号では、冬至の食べ物としてカボチャを取り上げている。カボチャの別名はナンキン。「ん」がつくことから、「運」がついて縁起が良いとされる。ナンキンとともに、「ん」が二つもついているレンコンとニンジン、ギンナン、キンカン、カンテン、うんどん(うどん)は「冬至の七種(ななくさ)」と呼ばれている。寒さのピークは1月下旬の「大寒」の頃と、もう少し先だが、一足先に昼の明るさは戻ってくる。増す光とともに生気を高め、栄養をしっかりとつける。先人からさまざまに学び、この日を祝いたい。
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