液体肥料の活用を
猛暑が続くと、日頃食欲旺盛な私もさすがに停滞気味。ソバやソーメン、ナスの塩もみなどのあっさりした食べものに加え、ミネラル類を含む飲料などで栄養を補給しています。
これは植物も一緒。生育に適した温度を超えると、肥料やミネラル類などを吸収しにくくなります。例えば夏に強いと思われがちなキュウリの最適な生育温度は、昼が22~28度。夜が17~18度。今の糸島は昼が35度を超え、夜温も28度から下がりにくい。キュウリもたまったもんじゃないですね。水を与えても肥料などを吸収する力は衰えています。
「うちのキュウリは曲がっとうとの多かぁ~。食べたら美味しかばってん、浅漬けしにっかとです」「うちんとは、お尻のでく~と(太ってる)しとう、変な形のキュウリばっかりですたい」。せっかく梅雨の病虫害を乗り切ったのに、もったいないですね。
キュウリが変形するのは、根が弱ることによる栄養吸収の低下やたくさん実を付け過ぎたことによる「成り疲れ」などの生育障害の影響です。早急な体力の回復と復旧が必要です。
そんなとき威力を発揮するのが、植物の栄養ドリンクである「液体肥料(液肥)」。水肥えともいい、固形肥料に比べ吸収しやすく、水に薄めて簡単に与えられるのが利点です。
液肥の目的は、収量の向上と葉にツヤを与え、根の元気を取り戻すなど効果を発現。疲れ切った老化した根などが復元することで、株全体がいきいきとしてきます。
私の一押しはJAの自信作で、JA糸島オリジナルの「エコアース有機液肥」。JAグループの肥料会社が焼酎製造時の搾りかすや動物性の食品残渣(ざんさ)などを原料に製造したもので、含まれているアミノ酸や核酸などが野菜のうまみを引き出します。チッソ、リン酸、カリもバランスよく配合され、天候不順でも生育促進効果が得られます。価格は2リットル専用ペットボトル入りで524円。2回目以降は、このペットボトルを持参し、タンクから補充すれば、2リットル394円で購入できます。
市販の液体肥料より格安で販売できる理由は、大型の千キロタンクで仕入れ、量り売りしていることと、専用ペットボトルのリサイクル制。よい資材を安く提供するのもJAの役割ですからね。2011年に販売して以来、評判は上々。「あたしゃ~この液肥の大ファンやもん」「野菜やら花やら一年中、使えるけんよか~」などといった声が上がり、販売量は年間20トンに達しています。
エコアースは、容器のキャップ1杯分(約7ミリリットル)を、2リットルの水で薄めた300倍希釈水が基本。これを5~7日間隔で、植物の根にたっぷりと与えます。
唯一の欠点は液体なので流亡しやすく、土壌中での肥料保持性が弱いこと。1度だけでは効果が見えにくいので、3、4回続けてみてください。ナスやピーマン、スイートコーン、セロリ、お花のペチュニアなどは多肥性植物なので、固形肥料と併用することで、より効果が高まります。
今、元気に育っているナスやピーマンなどはもとより、キャベツやブロッコリーなどの秋冬野菜にもエコアースの施肥により、生育が安定しますので、一年中ご利用できることも大きなポイントです。楽しい園芸の必需品として一押しです。
(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)
※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。