「着いたー!」。白み始めた夜明けの空をバックに校門に走り込んだり、仲間と肩を組んでそろってゴールしたり-。糸島市の二丈中学校を発着点に、夜を徹して歩くナイトハイク(ナイトハイク実行委員会主催)が11日から12日にかけて行われ、同中の生徒65人、保護者19人が参加。途中休憩をはさみながら同中と志摩の引津運動公園を往復する約20キロの道のりを歩いた。
同中PTAおやじの会が2019年まで15回続けてきたナイトハイク。コロナ下でいったん途切れたが、思い出作りの機会が少なかった子どもたちに非日常の体験をと、過去に経験のある保護者の協力のもと復活させた。
夜9時、おしゃべりに花を咲かせながら足取り軽くスタート。出発して1時間半ほどで第1チェックポイントである加布里の牧のうどん駐車場に到着した。顔と名前の確認、水分補給など休憩をして出発、11時過ぎに志摩小富士の弁天橋へ差しかかった。対岸の光が真っ黒な水面に映りこみ、ひんやりとした海風が参加者の頬をなでた。橋のたもとのチェックポイントを通過し、目的地である運動公園には夜中0時に到着した。軽食とお茶で一休みした後は、九州大学マジックサークルによる真夜中のマジックショーの始まり。「疲れたー」「足が痛いー」と大の字に地面に転がっていた子どもたちの目が輝いた。
すっかり気力体力を回復し、2時には帰路へ着いた。折しも三大流星群の一つ「ペルセウス座流星群」が見ごろを迎える時期であったため、ラスト2、3キロに差しかかった夜半過ぎには下弦を過ぎた細い月と台風一過の雲一つない明け方の夜空、という好条件がそろい、流星の数々に遭遇。「お金持ちになりたい、お金持ちに…」と子どもたちは口々に唱えた。
先頭集団の中にはゴール間近になると走り出す子どもも。先陣を切り一番にゴールをした片山聡志くん(12)は「友だちを迎えに行ってきます!」とまた夜道へ戻って行った。同じく早々にゴールした加藤梨央さん(14)も「楽しかった!まだ走れます。足は疲れたけどきつくはないです」とにっこり。一緒に参加した片山君の父親は「来なきゃよかったです」と足をさすりながら苦笑した。
白み始めた空のもと、午前5時には全員無事帰校した。
チェックポイントを担当した実行委員の藤崎祥子さんは「2カ月という短い準備期間でしたが、実行委員それぞれが力を発揮し開催できました。最後の数キロは流れ星を観ながら子どもたちと一緒に歩けて幸せでした」と振り返った。