「地球温暖化の時代は終わり、地球が沸騰する時代が到来した」。国連のアントニオ・グテーレス事務総長が強烈な表現を使い、温暖化が加速している状況に警告を発した。世界気象機関(WMO)などが7月の平均気温が観測史上最も高くなるとの見通しを発表したことを受けての発言だ▼WMOによると、世界平均気温は7月初旬、17・24度を記録し過去最高を記録した。事務総長は、主要20カ国が世界の温室効果ガスの約8割を排出している現状を指摘し、国や企業に対して気候変動対策を加速させていくよう訴えかけた▼日本だけでなく、世界中が猛烈な暑さに見舞われていることを、まざまざと伝えているのが各地で起きている山火事だ。強風にあおられ、炎が急速に市街地をのみこんだハワイ・マウイ島では110人を超す死者が出ている▼カナダでは毎年、5~10月に山火事が頻発するが、今年は例年を大きく上回り、すでに九州の4倍近い面積の森林が燃えた。煙は米国ニューヨークにも達し大気汚染をもたらした。異常な高温になった海もある。気温が体温を超えても、もはや日本では驚かなくなったが、米国フロリダ州では海水温が38度を上回ったという。海が風呂のようになってしまう信じられない現実がある▼経験したこともない異常気象による「地球への脅威」。ただ、「異常」という言葉が使われなくなってしまう局面に差し掛かっているのかもしれない。気象変動を真摯(しんし)に受け止めさせる機会となったこの夏。一人一人が何をすべきか考え、ぜひ行動を起こしてほしい。
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