《糸島新聞連載コラム まち角》

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「1頭目の時はよく断られることがありました」。現在で3頭目の盲導犬ユーザーの女性が、九州盲導犬協会報の創立40周年記念号のインタビュー記事で、盲導犬を同伴して店に入ることを拒否された経験を語っている。かつて、プールを利用していた施設でレストランに行くのを止められ、別の部屋を用意されて食事をとることになったという▼2003年に全面施行された身体障害者補助犬法で、公共施設や公共交通機関、ホテル、一般の人が入ることができる店舗などで、補助犬の受け入れが義務付けられた。補助犬とは、身体障がい者の目や耳、手足となって働くよう訓練された盲導犬と聴導犬、介助犬のこと▼ただ、施行から20年たっても、法の理解が十分に広がっていない。全国盲導犬施設連合会の加盟団体が20年にユーザーに調査したところ、過去1年間に受け入れ拒否にあったユーザーは52%に上った。厚生労働省や同連合会が「補助犬同伴可」のステッカーを作成し、それを貼っている施設でさえ、従業員に補助犬の知識がなく、拒否されるケースがあるという▼拒否の背景には、犬の抜け毛や臭い、排せつなどへの不安があるのだろうが、ユーザーは法律で行動管理・衛生管理が義務付けられている。ユーザーはブラシで丁寧に補助犬の抜け毛を取り、ぬれタオルで体をふき清潔を保つ。排せつも、決まった時間にするよう補助犬は訓練を受けている▼行ってみたいところ、やりたいことがあるのに、ユーザーがあきらめてしまうような社会であってはならない。補助犬は福祉施策のバロメーター。だれもが住みよいまちになるよう、しっかりと啓発に協力していきたい。

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