糸島産の素材力を大切に

「テロワール」の日下部誠さん

 コリンキー、黒ニンジン、ビーツ-。9月中旬に訪れた際、皿を彩った糸島旬野菜は20種以上。糸島市志摩岐志のフレンチレストラン「テロワール」で、「大地」と名づけられた前菜は、シェフの日下部誠さん(52)渾身(こんしん)の一皿だ。野菜はそれぞれのおいしさを最大限引き出すよう、個々に調理している。

テロワールのオーナーシェフ、日下部誠さん


 「とにかく素材を大切に。野菜でも肉、魚でも、素材力を生かす。味を幾重にも重ねない」。シンプルな調理だからこそ、ごまかしはきかない。日下部さんが信頼する契約農家が作る野菜など、多くの糸島産食材がテロワールの味を支えている。

丁寧に仕上げられた前菜「大地」


 長崎県出身。ハウステンボス場内のホテルや、ホテルマリノアリゾート福岡で料理長を務めた。「長崎にいた時から、西洋野菜などを求めて、糸島にはよく来ていましたね。有機農法の野菜は無駄のそぎ落とされた味で、おいしさがまったく違う


 糸島の食材や自然豊かな土地柄に魅力を感じ、2020年10月、テロワールをオープン。開店から3年、可也山を一望できる店内で、極上の料理をゆっくり堪能したい客が、市内外から日々訪れる。一部の食器やインテリアも市内作家の作品を使い、店内は温かみを感じさせる空間になっている。


 「オーガニックで自分がいいと信じるものを提供するので、決して価格は安くない。それでも、ディナーの料理を食べに、近所の人が懐中電灯を照らして来てくれることも。糸島のおいしいものを集めて作っているので、糸島の人にこそ愛されたいと思っています」と話す。


 店名のテロワールは、「その土地の個性、風土」を意味する。「糸島に根づいて、情熱をもって頑張っている生産者たちと一緒にやっていきたい。やっぱり最後は“人”だと思っています」。糸島のテロワールを活かした良質なフランス料理を提供し、生産者とお客様をつなぐ場を作り続けていく。

テロワール
糸島市志摩岐志63-1
(328)0014
ランチ:11:30~14:00
ディナー(要予約):18:00~22:00

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この記事を書いた人

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