伊都国歴史博物館で特別展示 7日から
奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡や同県田原本町の唐古・鍵遺跡で発掘された国指定重要文化財などを多数展示し、邪馬台国畿内説について検証する伊都国歴史博物館(糸島市)の秋季特別展「『邪馬台国畿内説』のゆくえ ヤマトと伊都国」が、7日からスタートする。11月26日まで。
「九州か」それとも「畿内か」。中国の史書「魏志倭人伝」に記された3世紀の女王・卑弥呼(ひみこ)の都の所在地を巡り、江戸時代から続く邪馬台国論争は、古代史最大の謎ともいわれる。
今回の特別展では、「畿内説」にスポットを当てる。「卑弥呼の宮殿」とも称される3世紀前半の大型建物4棟が見つかった纒向遺跡や、弥生時代の畿内の中心集落である唐古・鍵遺跡から出土した、褐鉄鉱(かってっこう)(核となる粘土の周りに鉄分が固着した天然鉱物)で作った容器と、中に納められた翡翠(ひすい)の勾玉(まがたま)や、「楼閣」が描かれた絵画土器(いずれも国重文)など、国重文約60点を含む計130点がずらりと並ぶ。
伊都国など北部九州では王が存在していたことが分かっているのに対し、奈良盆地では弥生時代の王の墓が未発見であり、同博物館は今回の特別展で、北部九州の王が東へ移り、政治的空白地だった奈良盆地で邪馬台国を打ち立てた“東遷説”も含め、「纒向遺跡出現前の奈良盆地の弥生時代の情勢はどうだったのか」「他所から勢力が入り込むすきがあったのか」などの謎に迫る。
◆29日にシンポ開催
糸島市は29日午前10時から、纒向遺跡がある奈良県の桜井市と、唐古・鍵遺跡がある同県田原本町と共催で、シンポジウム「卑弥呼のクニを探る-検証 邪馬台国畿内説と伊都国」を糸島市の伊都文化会館で開く。
藤田三郎・田原本町埋蔵文化財センター長と、橋本輝彦・桜井市立埋蔵文化財センター所長、伊都国歴史博物館学芸員の角浩行氏が、それぞれ基調報告。福岡大非常勤講師の常松幹雄氏をコーディネーターに迎え、「卑弥呼のクニを探る-」と題して3氏が討論を行う。
実際に遺跡の発掘調査に携わった第一人者である担当者ならではの詳しい解説が聞ける機会。
料金は無料。定員は600人(事前申し込み不要)。
伊都国歴史博物館=092(322)7083