急増する出勤件数に対応 —糸島市消防本部—
糸島市消防本部は増え続ける救急出動に対応するため、今までの4台の救急車に、新たに5台目の救急車を同本部に追加配備した。1日、新しい救急車の運用開始式が同本部で行われ、進藤俊典消防長は「本救急車を活用し、救急活動の充実強化を図ることで、必ず市民の皆さまにその効果と防災力の強化を実感していただけるものと信じている」とあいさつした。
同本部によると、市の人口増や高齢化が進んだこと、観光客の増加などにより、2014年に4,015件だった救急出動件数は、10年間で1,500件以上増加。23年には5,524件と、初めて年間5千件を超えて過去最多となった。
搬送人員は4,856人で、うち入院加療を必要としない軽症は1,619人と、全体の33.3%を占める。中には「いつも飲んでいる薬がなくなった」などの理由で救急車を呼ぶケースもあり、同本部は「119番通報を迷う場合は“県救急医療電話相談(♯7119)”の利用を」と注意を呼びかける。
5台体制での救急車運用や、人命救助活動を主な任務とする消防の専門部隊である「特別救助隊」の来年度発足などに備え、同本部では昨年度、消防職員の定員を100人から110人に増員。5台目の救急車は3人体制で運用され、同本部は「増員された消防職員を適切に配置する」としている。
新しい救急車の導入に向けて、市消防本部は救急車のデザインを公募。28人45点の応募の中から、市の花「ハマボウ」や市の木「カエデ」、可也山、国宝「内行花文鏡」などが描かれた、糸島市在住の山崎千春さんの作品が選ばれた。
式典では、月形市長が「糸島市民の命と暮らしを守り、防災力の強化にもつなげたい」とあいさつ。5台目の救急車のお披露目とともに、山崎さんに感謝状を贈呈。
進藤消防長は「近年の救急出動状況は、新型コロナウイルスなどの感染症対応や、温暖化による熱中症の増加など、救急出動の対応に変化を迫られている。さらに高齢化社会の進展も救急件数増加の一因となっている」とし、救急車5台体制により、高まる救急需要への対応と防災力強化を目指して「消防職員一丸となってさらなる努力とチームワークを磨き、市民の生命、身体、財産を守る」と力強く語った。