伊都ジュニア定演
糸島市志摩にあるけやきの杜ホールで1日、伊都ジュニアオーケストラの第5回定期演奏会が開かれ、爽やかな風吹き抜ける庭にまであふれた観客は、何層にも重なり合う楽器の音色を楽しんだ。
A、Bプログラムの二部制で、計4曲を披露した。Aプログラムの1曲目は躍動感あふれるシュトラウスⅡ世の「雷鳴と電光」。2曲目のベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」では、ピアノ奏者の山根有貴さんがピアニストと指揮者の二役をこなす「弾き振り」を披露した。オーケストラの中央に据えられたピアノから、時に指揮を執り、時に鍵盤の上に指を走らせ、オーケストラと心を合わせて演奏した。
フラットなホールに並ぶ団員と観客席の間は1メートルほど。観客は、バイオリンの伸びやかな音色、金管楽器の柔らかな音色、コントラバスの重低音と一つ一つの楽器の音や演奏の様子を間近で堪能した。コンサートの「歓喜に楽(あそ)べ 音に翔べ」というスローガンを考案した月潭眞龍さんは「日本神話に『歓喜(よろこ)び笑い楽(あそ)ぶ』という表現があり、古代から音楽は歓喜と共にあることが分かる。私たちの演奏会は、演者と聴衆が共同で行う『楽び』との思いを込めた」と話した。
0歳児から70代までが集う同団。チェロを担当した甲斐ひよりさん(12)と小倉安奈さん(9)は「今日の演奏は100点満点」と顔を見合わせ、はじける笑顔を見せた。
3歳と7歳の子どもを連れて訪れた女性は「子どもたちは同世代の子が楽器を弾いている様子を食い入るように見ていた。生のオーケストラを小さい子も一緒に聴ける貴重な機会」と息を弾ませた。