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クラフト
糸島と言えばクラフト―の定着に貢献してきた「糸島クラフトフェス」(通称・糸フェス)と「ハンドメイドカーニバル」(同・糸ハル)の各実行委員会が、観光振興に特に顕著な功績があったとして、今年度の県観光功労者表彰に選ばれた。25日、受賞報告を受けた糸島市の月形祐二市長は「クラフト系のダブル受賞」と快挙を喜んだ。 会場は、両イベントとも同市志摩初の志摩中央公園・プロムナード。 糸フェスは2008年スタート。出展は糸島地域で活動するプロのクラフト作家に限り、陶芸、木工、彫金、染色などの職人たちが、60ほどのブースに見ほれるような作品を並べる。作家たちでつくる実行委が毎秋開催。3日間で約2万人が来場する。先月12回目を終えたばかり。 同実行委の内田富士子代表は「回を重ね、お客さんも目が肥えてきた。新風を入れて新しいお客さんを呼び込みたい」と意欲を見せる。 一方、糸ハルの開始は13年4月。こちらは主婦などの九州・山口のハンドメイド作家たちが、手作りの雑貨、布物、革細工、編み物、和小物などを販売。3日間で出展する作家は150組以上。多彩なワークショップは子どもに大人気だ。16年から春と秋の2回開催に。年に2万5千人が訪れる。 「子育て中の主婦が活躍できる場をつくりたいと始めた企画。クラフト好きの人たちは両イベントに足を運び、楽しさが倍増しているようだ」と同実行委の川内雷太委員長。
歴史
北部九州で最大級の円墳である糸島市神在の国指定史跡「釜塚古墳」について、国の文化審議会は15日、指定区域を1540平方㍍拡張する追加指定を文部科学大臣に答申した。指定済みと合わせると約5600平方㍍になる。 釜塚古墳は、古墳時代中期(5世紀前半)に築造された。墳丘の直径は約56㍍、高さ約10㍍。周りを幅5~7㍍の周濠が円形に巡る。1978~2002年まで3回調査が行われ、82年、国史跡に指定された。 01年度の第3次調査で、周濠の延長と、その外側に墓域を示す土手状の土盛り遺構である外提(がいてい)が見つかった。全てを含む直径は89㍍に達する。今回追加で指定されるのは、同調査区域に当たる。元は水田とため池だった。 また、周濠から石見(いわみ)型木製品が出土しているのも同古墳の特徴。全長約2㍍5㌢で先端がY字状に分かれ、帯状の段が2カ所ある。最大幅は34・5㌢、最大厚9・6㌢。ほぼ完全な形をとどめる。 「儀仗(ぎじょう、指揮棒のようなもの)を模した」などとされる。墓域を邪気から守る目的で、埴輪(はにわ)とともに墳丘に立てられていたと思われる。近畿地方以外で見つかったのは初めてで、最古のものと考えられる。 これまでの調査結果から、市教委は「釜塚古墳の存在は、弥生時代から5世紀前半の古墳時代になっても、糸島地域が対外交渉の要地としてヤマト王権から重要視されていた証と考えられ、北部九州の古代史を考察する上で大変重要な古墳」としている。
糸島情報
糸島農高は16日、「いただきます~一つの生命(いのち)に感謝を」をテーマに「糸農祭」を開き、農業技術、食品科学など4学科の生徒たちが、教室で活動発表や加工食品や育てた農産物などを販売した。「JR九州ウォーキング」参加者の立ち寄りポイントにもなり、地域住民ほか多くの人が食と農の企画を楽しんだ。 市民に人気の農産物・加工品販売会場では、トマトケチャップやいちごジャムが販売開始から約20分で売り切れ。苗から育てたタマネギを使った「糸農ウスターソース」は、1600本製造。「鶏ももの糸農ソース焼き」など手作りレシピを初めて付けて販売、800本を売り切った。
災害
9月の台風17号の強風で、樹齢1700年ともされるご神木のイチイガシが根返りし、倒れる被害に遭った宇美八幡宮(糸島市川付)で18日未明、ご神木そばの樹高20㍍超のクスノキとモミがともに幹の根元から折れ、社務所の屋根を壊した。新年祭が近づく中の相次ぐ災難に、同宮や氏子らは頭を痛めている。 「その晩は、背振山地から吹き降ろす南風(はや)でシイの実が地面に叩きつけられ、ひょうのような音がすごかった」と振り返るのは、同宮の武内純夫宮司(69)。同日午前3時半ごろ衝撃音を聞いた隣家の氏子が、朝になり宮司へ連絡。 倒れたクスノキの枝葉が社務所の屋根瓦を落としたものの、幹が社務所に倒れ掛かるのをモミジが防いだという。石灯籠1基の一部が落下。参道の石段はクスノキとモミで完全にふさがれた。武内宮司は「2カ月前に倒れたご神木(樹高26㍍超)が南風の風よけの役目をしていたのだろう」と話し、追い打ちを掛けるような被害に「なんで(ご神木と)一緒に倒れてくれなかったのか…」と漏らした。 被災を伝え聞いた新誠木材(福岡市西区今津)の横尾新二社長は20日、重機を持ち出しクスノキとモミをボランティアで撤去した。「熊本地震や九州北部豪雨の被災地でも手伝った。宮司さんや氏子さんたちが倒れた木を切っていたが、一つ間違うと危険。見て見ぬふりはできなかった」と話す。 参道は通れるようになり、社務所の屋根は雨漏りを防ぐブルーシートで覆われた。一方、ご神木は撤去に数百万円かかるとの見積もりが出たため、今も境内の斜面に横たわったまま。同宮奉賛会が寄付を募っている。問い合わせは、同宮=092(323)0734。