認知症患者を見守る サポーター1万人突破

 認知症について正しく理解し、認知症の人やその家族を温かく見守る「認知症サポーター」。当事者やその家族にとって心強い〝応援者〟を養成する講座の受講者が15日、糸島市で1万人を突破した。

 認知症は脳の老化や病気などが原因で、記憶や判断などを行う認知機能が低下し、日常生活などに支障が出る。市介護・高齢者支援課によると、認知症の発症者は糸島市に推定で2,432人(2021年度末)、25年度には全国で700万人に達すると見込まれている。

 市は、11年度に講座を開始。12年度には小中学校での「認知症キッズサポーター養成講座」もスタートした。これまでに小学校14校、中学校5校で開催され、市は小中学生へのサポーターの普及啓発にも力を入れてきた。

 市の同講座は、認知症の人への関わり方を学んでもらうため、寸劇を交えるなど工夫を凝らしているのが特長。同日、前原南小では5年生約120人が受講した。

 介護施設職員や市民有志がボランティアで講師「キャラバンメイト」となり、児童に「年を取ると、誰でも認知症になる可能性があります」「認知症の方が同じ話を繰り返しても、毎回初めてのように聞いてあげることで、とても安心感を与えます」などと語りかけた。

 家と違う方向に帰ろうとする高齢者に声をかけるシーンを再現した寸劇には、クラスの児童代表2人が参加する場面も。

 「びっくりさせないように、後ろから大きな声で呼びかけないこと」など、注意点を学んだ子どもたちは「認知症の方が困っていたら、今日学んだことを生かして声をかけたり、大人の人に助けを求めたりして、助けになりたい」などと話した。

 講座を修了すると、サポーターの証である「オレンジリング」と、小学生にはキャラバンメイトのオリジナルマスコットキャラクター「ロバ隊長」のキーホルダーが配布される。この日は、サポーターが1万1人となった記念証と、絵本も合わせて贈られた。

 市民の間にサポーターの輪が広がることで、過去には捜索願が出ていた高齢者に受講者の女性が声をかけ、保護したり、様子の気になるお年寄りにサポーターの中学生が気づき、交番まで連れて行ったりと、効果が表れ始めている。

 同課は「認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、〝認知症バリアフリー〟の実現に向け、小中学校だけでなく、企業向けの講座の開催にも力を入れていきたい」としている。

認知症サポーターの寸劇
サポーターが1万人を突破し、児童代表に記念証が手渡された
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この記事を書いた人

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