糸島市の和太鼓集団「糸島二丈絆太鼓」(田中茂雄代表)が、発足から今年で20周年を迎える。3月11、12日に20周年記念公演、19日に第25回日本太鼓ジュニアコンクール全国大会出場を控え、練習にいっそう熱が入る。
前身の「絆太鼓」は2003年4月、糸島青年会議所の青少年健全育成事業として発足した。事業が終了していったん解散するものの、団員らの惜しむ声が上がり、05年から地域の子ども太鼓集団「二丈絆太鼓」として再出発。14年から糸島観光大使に就任し、「糸島二丈絆太鼓」と改名した。糸島市内のイベントや式典での演奏、福岡県代表として10回の全国大会出場、イタリア、フランス、シンガポール、ブルガリアでの公演など、精力的に活動を続けてきた。
現在は、糸島地域の4才から高校3年生まで20人が所属=写真。週5から7日が練習で、メンバーは太鼓漬けの日々を送る。ひたすら積み上げられる練習を通して、持ち味である「速い・強い・派手」な演奏、一糸乱れぬパフォーマンスを作り上げる。
20年間を振り返り、田中代表は「地域のイベントに出たり大会に出場したりと、常に目の前に目標があった。次はこれがあるからがんばろうと、みんなで努力してきた」のが、活動が続いてきた理由だと話す。「メンバーは替わり続けるが、上の世代の教えを下の子が引き継ぎ、歴史がつながってきた。世代ごとに思い出がある」という。
20年の活動の中、コロナ禍はまさに「大打撃」だった。多くのイベントが中止になり、公演が激減。「100回の練習より、1回の本番」と言うが、人前で披露することで身に付くパフォーマンス力が育つ機会を失った。毎日の練習ができないこともあり、辞めていく団員も。しかし、そんな困難を乗り越えてきた今のメンバーたちは「技術レベルでは、一番上手い世代」と田中代表は太鼓判を押す。
20周年記念公演は、糸島二丈絆太鼓が今まで「刻」んできた「とき」を披露しようと、テーマは「刻(とき)」。南阪光里(ひかり)さん(15)は「20周年という節目のコンサートなので、すばらしいものにしたい。私たち自身成長して、次世代につないでいく」と強く語った。
また全国大会に向けて埜渡心乃(ここの)さん(15)は「優勝する覚悟で臨む。自分たちがこれから中心メンバーになっていくので、自覚をもってがんばりたい」と意気込みを話した。
7月には、フランスで行われる伝統芸能のフェスティバルに参加する。海外での公演も徐々に視野に入れるが、「糸島を盛り上げるための一つのチームとして、これからも活動していきたい」と田中代表は思いを話す。糸島で、日本で、世界で、糸島二丈絆太鼓は全力で魂をぶつけ、熱い音色を響かせ続ける。