《糸島新聞連載コラム まち角》

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外国クルーズ船の寄港が九州各地の港で再開した。博多どんたくが開幕した3日、博多港に大型船が停泊しているのを見かけ、せっかくなら、より非日常を楽しんでみようと、港内を巡る遊覧船に乗り込んで見物した。海上から見る白い船体は優美で、ラグジュアリーなマンションが浮かんでいるようだった▼見とれていると、遊覧船の船員から案内があり、どよめきが起きた。「泊まっているのはクイーン・エリザベスです」。世界で最も知られているとされる豪華客船。「まさか」と思いつつ船首の船名に目をやると、確かにクイーン・エリザベス(QE)だった。1938年進水の初代、69年デビューのQE2の名を受け継ぐ3代目。2010年の建造で、乗客定員は2081人▼大型連休中の翌日、気が向くままに、長崎市を訪ねてみた。すると、女王の名にふさわしい気品に満ちたQEが観光船ふ頭に接岸しているさまに出合った。因縁めいたものを感じつつ調べてみると、QEは4月から、4年ぶりに日本発着のクルーズを再開し、横浜港を出発して各地に立ち寄る旅の最中だった▼洋風住宅が今も残る南山手の丘から、港町の景色によくなじむQEの船影を満喫した後、中国様式寺院の崇福寺を訪ねた。異国情緒たっぷりの境内には、その風情を味わいながら散策するQEの乗客の姿があった▼横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナの集団感染が発生してから3年余り。コロナの法的な位置づけは季節性インフルエンザと同じ5類へと移行し、コロナ対策は「平時」の対応に転換する。インバウンド活発化の象徴ともいえるクルーズ船の寄港再開。乗客の笑顔を思い出しながら素直に喜んでいる。

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