考古学協会ポスター発表
糸島市の糸島高校歴史部(10人)が、日本考古学協会の第89回総会(5月28日、神奈川県・東海大湘南キャンパス)で行われた高校生ポスターセッションで研究成果を発表し、最高の賞である優秀賞を受賞した。2017、18年の連覇以来の日本一に、部員たちは「データ集めとか苦労した分、喜びも大きかった」と満面の笑みを浮かべた。
ポスターセッションは、考古学界の甲子園とも呼ばれ、今年は全国から9校10グループが参加。うち同校を含む3校が優秀賞に選ばれた。
同校歴史部は、遊牧民の革製水筒がルーツといわれ、6世紀の古墳時代後期に流行する革袋形土器(伝・福岡市西区小田出土、同校郷土博物館所蔵)にスポットを当て、ほかの出土例と比較しながら、土器の使い方の検討や形による分類、土器を用いた集団などについて調査・研究を行い、1枚のポスターにまとめた。
結果、同土器は大陸から持ち込まれたものと思われていたが、朝鮮半島には類例がみられないこと▽古代の豪族である大伴氏や物部氏が本拠地としていた大阪湾沿岸で生み出されたこと▽6世紀に起きた磐井の乱の鎮圧のため、大和朝廷から両氏が九州に派遣された時期と、九州で土器が見つかり始める時期が重なること▽7世紀以降、物部氏が勢力を失うと、土器も消滅に向かうこと-などから、「革袋形土器は両氏、特に物部氏に関わる土器である」と仮説を立てた。
発表を行った3年生の前部長、磯邉倫太郎さんと吉田煌(こう)さん、2年生の現部長、副島峻ノ介(りょうのすけ)さんと久我伊歩希(いぶき)さん、中下劉乃助さんの5人は4日、市役所で月形祐二市長に日本一を報告。
部員たちは実際にイノシシの胃を使って袋を試作したことなどを説明し、「革袋形土器についてはこれという定説がなかったし、土器のデータを集めるのにも苦労したが、優秀賞を受賞したときはとてもうれしかった」と喜んだ。月形市長は「国内で唯一、博物館相当施設を有する高校として、輝かしい歴史部の伝統をぜひ、次の後輩たちにも引き継いでほしい」と部員たちを激励していた。