【糸島】ドクター古藤の園芸塾Vol.40(9/15号掲載)

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そろいの良い大根づくり

 今年の記録的な猛暑日から少しずつ解放され、朝晩の気温が心地よい時期となりました。白菜の種はまきましたか?いくら暑くても、日が短くなるのは変わりませんから、適期のこの時期に種まきをするのはとても重要。15日ともなればもう最終段階で、これ以上遅くなると結球しない可能性があります。「ほまれ二号」「ほまれの極み」=写真=など、今月いっぱいまでまける特殊な品種がありますので、こちらで対応することも検討してみてください。


 秋バレイショの植え付けもピーク。早生タマネギにカブ、ホウレン草、春菊…。主な野菜の種まきで忙しい時期ですが、近所のおじちゃんたちの会話がー。


 「大根ばまいた後、あんたは間引きしょうな?」「1穴に3~4粒まいたら適当に間引いて、1本にしよりますばい」「面どらしか(面倒くさい)けん、1粒ずつまいて間引きはしよらん」


 さて、どちらが正解でしょうか。大根は発芽後、虫食いや台風などで株が傷むことがあるので、1穴に3~4粒まいて間引きする「友育ち」栽培が基本。1穴1粒まきは、よっぽど徹底して管理しない限り難しいです。


 大根栽培のポイントです。秋作は早まきすると病虫害の発生が増え、遅まきでは肥大不良になります。やせた土地でも育ちますが、根が深くまで張るので、浅すぎる耕土や、未熟な有機物、石などに当たると変形しやすくなります。


 「大根十耕」ということわざがあるように、何度も土を耕し、柔らかく深い土質をつくります。さらに、排水の悪いところでは高畝にする必要があります。種まきの7日前までに基肥を施し、適正な水分状態で畝をつくります。


 根の肥大が始まる本葉4枚の時期から肥料切れ、水不足にさせない管理が大切ですが、直接肥料が接すると肥料焼けを起こすのでご用心を。


 畝づくりは、種まきの5日前を目標に、畝幅50~60センチで。品種や耕土の深さによって変わりますが、1条で株間25~30センチ。覆土は1~1・5センチが基準です。間引きは1回目が本葉1枚で3本立てます。この時に双葉が左右均等な形の株を残すことが大切です=イラスト1。2回目は本葉3~4枚で2本立て、3回目は本葉6~7枚で1本立て。間引きが遅れると株が軟弱徒長してしまいます。その後、生育を見ながら追肥し、軽く中耕、土寄せ。

イラスト1


 本葉7枚が止め肥。この後、遅く追肥を与えてしまうと、葉への栄養分が強すぎ、大根が曲がったり、味がおちたりしてしまうので注意してください。さらにここで裏技。間引く際は、子葉の向きの確認を。畑で育てる場合は、子葉を畝の向きに対して平行に育てることです=イラスト2。なぜか。

イラスト2


 大根の根には、真っ直ぐ伸びる直根のほか、子葉方向と同じ方向に直根から伸びる側根があります。初期生育時、側根はたくさんの養分を吸収して株全体に送り込みますが、この時、畝に沿って子葉方向に肥料を吸収する根が発達するため=イラスト3、均一な生育が見込めるわけです。まあ、実際には生育不良や虫害などで理想通り間引けないでしょうが。知ると知らないでは大違い。なるべく気をつけながら作業を進めてみてください。きっと「今年の大根はそろいのよかばい」という実感が湧くことでしょう。

イラスト3

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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