【糸島】ドクター古藤の園芸塾Vol.41(9/22号掲載)

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大根、白菜、カブ 穴開けた犯人は…

 「今年はえーらい暑かばってん、どうにかこうにか、白菜やカブが発芽して、美しか葉っぱやったとい、なんのよかろ~、葉ばバリバリ食われとうるやないね」っと、常連のおじちゃんたちが血相を変えて店に飛び込んできました。


 今年の暑さを乗り越えて発芽し、すくすく育っていた野菜の葉に異変がおきたというわけですが、よーく見ると葉の裏に黒い生物が。白菜やカブ、大根などのアブラナ科野菜の柔らかい葉に無数の穴を開ける害虫ダイコンサルハムシの幼虫=写真1=がいました。同じアブラナ科野菜でもキャベツやブロッコリーなどの葉が固めの野菜には危害が少ないのが特徴です。

写真1


 コガネムシやテントウムシの仲間で、幼虫は7ミリまで成長し、若いときは淡褐色で黒い模様があり、成虫前になると濃褐色や黒くなります。体長4ミリ前後の成虫=写真2=はキラリと光る紺色です。幼虫、成虫ともに食害し、葉に2~5ミリの穴をたくさん開けます

写真2


 成虫の寿命は500日で、産卵数は約1200個。成虫は枯れ草や石の下などで越冬し、春と夏を眠り続けて9~12月に発生する変わりダネで、ほぼ1カ月で卵から成虫になるため、シーズン中2~3回発生する難防除害虫です=イラスト1。

イラスト1


 成虫は、農園周辺の雑草地から近寄り、飛行ではなく歩行で移動。触れると葉から転がり落ちる習性があり、死んだふりをします。比較的殺虫剤には弱く、通常の防除を行なっている畑などでの発生は少ないようですが、農薬を使わない有機栽培や家庭菜園などで問題になる傾向があります。


 ダイコンサルハムシに近い種類でさらに小さく、勢いよく跳びはねるので捕捉することの困難な害虫が、キスジノミハムシです。こちらもたいへん厄介な害虫です。


 成虫(2ミリ程度)は葉を食べ、幼虫は土の中で根を食害します=イラスト2。大根、カブの場合、早い時期の食害ではなめられたような跡が表面にでき、生育後期に食害されると小さな食跡が点々と残るため、プロの場合は商品として売り物にならなくなります。

イラスト2


 さてこの二つの害虫への対処法。慣行的防除は「フォース粒剤」を13グラム/坪目安に土壌混和後、種まきや苗定植を行なう


 有機的防除は、粘着テープの粘着部分を外側にくるりと丸め、葉からポロポロ落ちやすい幼虫、成虫をペタペタと捕獲するのが確実=写真3。

写真3


 基本的には、周りの雑草を取り除く▽晩秋から春、何も植えつけない場所があれば、えん麦などの緑肥を育てる冬季に2~3回、土を耕し、強い寒に土を当てるーなどを行なっておけば、害虫抑制だけでなく、元気な土づくりにもなります。


 近年の気候の特徴である、高温・乾燥・暖冬などの影響で、冷え込むことを感じなくなってきた気がします。半面、外来害虫などにとっては生息環境が整っていくのではないかと懸念していますし、注視していきたいと思います。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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