【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.121(5/23号掲載)

ドクター古藤アイキャッチ

命と直結する食料の大切さ

 仕事上、度々、勤務しているシンジェンタジャパンの本社がある東京や、大阪などの大都市に行く機会があります。

 日頃の勤め先の福岡市天神。キラキラした近未来的なビルへと競争のごとく急激に建て替わっています。東京や横浜となると、さらに超高層ビルが林立し、どこに行ってもとにかく人の多いこと。日本人に加え、観光やビジネスなどで多くの国々の方が行き交っています。そこで、私がいつも思っていることが、どれだけの人が、この東京にいるのだろう。

シンジェンタジャパン本社があるビル(東京都中央区晴海)

 資料によると、今年3月1日現在の東京都の人口は、推計で1,418万人。前年比で0.66%増えており、日本の全人口の約11.5%が東京に集中しているとのこと。それに観光客などを加えると、実際に都内にいる人はもっと増えるのでしょうね。

週末の夕方、横浜の駅前の人混み

 そこで疑問。これだけの人口がいて、どれだけの食料が集まって消費されているのでしょう。そして、どれだけの生ごみや廃棄物などが発生しているのでしょうね。

 日本の食料自給率は2022年、カロリーベースで38%。これは、わが国の食料供給に対する国内生産の割合。1965年には73%を維持していたとのことで、現代の数値は驚くほどの低さです。大部分の食料は、輸入に頼ってしまっているのが現状です。ちなみに21年の東京都の自給率は0%、福岡県は20%(カロリーベース)。100%を超えるのは6道県のみとなっていました。

 先月、新宿御苑を散策する機会がありました。都心の中の広大な敷地には、イチョウの大木などの木々、芝生、四季の花木類など、とても都内とは思えないほど自然が豊かでした。平日にも関わらず、たくさんの方が新緑を楽しみ、憩いの場となっています。テクノロジーやAIが急速に発達していく現代の中、やはり人は緑との共生が必要であるし、自然から守られていると感じました。

緑豊かな新宿御苑

 人それぞれが食のありがたさや、自然の豊かさに、もっともっと目を向けていくべきではないでしょうか。せめて命と直結する食べ物は、自ら賄う重要性を消費者自身がわずかなりとも認識しておくべきだと思います。

 私が生まれ育った糸島では、多種多様な農畜産物が生産され、近海からは魚介類も水揚げされます。豊富な食料が地域の中で生産され、消費されるというバランスのよさが素晴らしいですし、豊かな自然も私たちの心身を支えてくれています。

 私も皆さんとともに、生きていくための食の生産をこれからも支え、自然を守っていきたいと思います。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

糸島新聞ホームページに地域密着情報満載

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次