コラム まち角

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 忙しい日々が続く師走で毎年、その総仕上げかのように家庭や職場で待っているのが大掃除。「普段からきれいにしているから、わざわざ年末にしなくても…」。愚痴をこぼしながら雑巾を手にするが、今年は面倒くさいとの気持ちが消え、前向きに掃除ができそうだ。そのわけはー▼年末の風物詩、神社のすす払いをニュースで見たとき、この行事と、家庭や職場での大掃除が重なって感じられた。ほこりや塵を払い落とすー。日常的な作業がどのようにして年中行事となっていったのか。気になって調べてみると、昔は囲炉裏やかまどで薪を燃やし、屋内はすすがたまりやすく、人々は年末にそれを掃除し、同時に神棚をはらい清めた。神社では、それが今も行事となって続いているのだという▼昔の人にとって、すす払いは衛生的で気持ちよく暮らすためには欠かせなかった。ただ、それだけではなく、一年間の厄をはらい、新年をつかさどる年神様を正月に迎える神聖な行事だったという。それが時代とともに様変わりしていったのが大掃除で、その流れを知ると、日本人の精神性が感じ取られ、大掃除に対しての「やらされ感」が随分と薄れる▼旅行作家の小林正観さんが随筆で、一流スポーツ選手の部屋の共通項を紹介している。選手たちが遠征先で使う宿の支配人によると、選手たちが朝、部屋を出ていった後、一流とされる選手の部屋はきちんと片付いている。部屋のきれいさが選手の実力を表しているのだという▼身の回りをきれいにする。それが人生に好結果をもたらすのであれば、とてもありがたく、掃除をやりたくなる。大掃除が楽しみだ。

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1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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