コラム まち角

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 「電話しても一緒やから」「一つずつしかできない。現実やから仕方ないね」。西日本新聞が6日に報じた能登半島地震で家屋が押しつぶされた被災現場。家族が家の下敷きになっている男性が、諦めたように語る言葉が心に突き刺さった。男性は消防に50回も救助を求めたが、通報が殺到しており、助けはすぐには来なかった▼災害時、被害を最小限に抑えるには、自分を守る自助と、地域や身近にいる人同士が助け合う共助、役場や消防、警察、自衛隊による公助の連携が大切とされる。ただ、今回のような大規模災害が起きたとき、救助と消火活動を同時に行わなければならなかったり、道路の寸断で現場に向かえなかったりと、公助には限界がある▼6400人以上の死者・行方不明が出た阪神・淡路大震災では、公助の限界を示す調査結果がある。過去の防災白書でも取り上げられているが、倒壊した建物から救出されて生き延びることができた人の8割は、家族や近所の住民に救われており、公助で救出された人は2割だった▼能登半島地震で、孤立していた集落の住民が報道機関に、地震発生時の緊迫した様子を語っている。「自分たちでやるしかない」と、スコップなど器具を持ち寄り、助け出していったという▼自助、共助の重要性を、いま一度、強く認識させられた。家族や自分の命を守る備えをしっかりとするとともに、要支援者の手助けなど、いざというとき、助け合いができるよう、コミュニティーの一員として、日ごろからの付き合いを大事にしていきたい。

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1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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