ドクター古藤の園芸塾Vol.56【1/12号掲載】

ドクター古藤アイキャッチ

ニンジンの種まき準備

 1月の野菜作りのスタートとしておすすめなのがニンジン。まだまだ寒い日が続きますが、種まきのスタートを切る時期になっています。というのも、収穫までおおむね120日を要し、春に花が咲く「とう立ち」前には、収穫を終える必要があるからです。

 従来、家庭菜園の方々には気温が落ち着く3月上旬に種まきした方が、発芽が安定するのでとおすすめしていましたが、近年の暖冬傾向と冬と思えない突然の大雨で畑が乾かないことなどを考慮し、1~2月の種まきをおすすめしています。種まきから収穫までの期間を考えると、遅めの種まきでは、収穫期に花が咲く「とう立ち」か梅雨期にさしかかり長雨で土の中で腐ってしまう危険性があるからです。

 このため、従来の3月まきより、1~2月まきの方が得策といえます。昨年の1月は暖冬による長雨で、プロの生産者も「畑が乾かんけん、種がまかれんばい」と話していたほど。このような状況にいつなってもおかしくないので、天気が続く状況を見計らって作業するのは重要ですね。また、生育後半の急激な気温上昇に伴う「とう立ち」発生を考慮し、とう立ちの危険性が低い「時なし系」の品種を選択するのが栽培のポイントです。

 土作りは1坪当たり、糸島よか堆肥くん7キロ、糸島かき殻石灰「シーライム」500グラム、有機配合「ほほえみ」350グラムを土とよく混ぜあわせ、種まき床を可能な限り平にし、準備します。ニンジンは好光性種子ですので、地表面浅く種をまかないと発芽しません。1センチ未満の深さで種をまき、発芽を安定させるため、モミガラ、または不織布を使って、強い降雨から守る必要があります。

 発芽後の生育を安定させ、促進するため、1週間に1度の液体肥料を潅水することです。ニンジンはセリ科で生育前半は水分と養分を特に好みます。吸肥力が発達していない生育初期の液体肥料は有効です。おすすめはJA糸島有機液肥「エコアース 2キロ」300倍希釈液をジョーロなどで与えます。

 春まきニンジンは春夏料理に必要な生で利用するサラダ系によく利用されます。秋まきニンジンは根が長めの五寸系が主流ですが、春まきは少し短めの三寸系の品種が多く、さらに根がだいだい色のほか黄や紫、濃紫などポリフェノール豊富な品種で、まさにサラダに最適。その他ニンジンジュースにもおすすめです。ニンジンは旬を楽しめ、その栄養素は体の免疫力を高めてくれる優れもの野菜です。今年の新春、いろんなニンジン色を楽しんではいかがでしょうか。

ダークパープル(サイズ小)
スノースティック
イエロースティックNEO
パープルスティック

 このあとの栽培スケジュールは、ゴボウ、春バレイショ、サトイモ、ヤマイモ、ショウガと根菜類が続きます。各野菜とも寒い時季の仕込みで、気温の上昇とともに、生育スピードが速まるので、観察するのも園芸の楽しみの一つです。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次