草刈や松枝落とし 松林の保全に尽力
糸島市志摩芥屋の幣(にぎ)の浜で14日、同市のNPO里浜つなぎ隊が、定例の松林の草刈りと松枝落としを行った。2013年に始めた活動は今回で100回目となった。
チェーンソーや草刈り機を持った会員7人が、3メートルを超える高さになった松林に入り、腰をかがめながら下枝を伐り落とし、下草を刈りはらった。
6年前から参加する渡辺洋さん(63)は、雲一つない青空の元での作業に汗ばみながら「苗からすくすくと育つ様子を見られてうれしい。まだまだ先の話だが、人が歩いて気持ちのいい松林にしていきたい」と未来の景色に思いを馳せた。
同団体の代表高山香月さん(83)は、豊かな自然環境に魅せられ、20年前に芥屋に移住してきた。当時の松林は「ジャングル状態で人が近づける雰囲気ではなかった」。松枯れが深刻となった2010年の様子を「遠目から見て『なんか枯れているね』と思っていたら、あっという間に一面まっ茶色になった」と振り返る。「とにかく植えよう」と住民有志で会を立ち上げ、3300本の苗を4年かけて植え、手探りで育ててきた。ある程度育つと下草と松がうっそうと茂り、人の入れない状態となるが、高山さんたちは、光の差し込む松林にしようと下枝を落とし、試行錯誤しながら作業を積み重ねてきた。
同団体は、防風・防砂機能のある松林を区画分けし、その区画を養子に見立て、企業や市民グループに里親になってもらい、手入れを行う市のアダプト事業の一翼を担う。
23年3月末現在で、幣の浜では10団体が登録し活動するが、まだ里親の決まっていない区画もある。高山さんは「美しい松林の景観を生かしていくアイデアを考え、ともに活動する仲間を増やしたい」と力をこめて話した。