【糸島市】松﨑さんが農林水産大臣賞 [全国麦作共励会・農家の部]

若手のけん引役としても高評価

 糸島市二丈松末の「(株)百笑屋(ひゃくしょうや)」の松﨑治久代表(38)が、全国麦作共励会・農家の部で最高賞の農林水産大臣賞を受賞し5日、月形祐二市長に報告した。松﨑代表は「大変な農作業に携わり、支えてくれる家族やスタッフのおかげ」と語った。糸島市での同賞受賞は、井田磯和さん(2003年)、小金丸満さん(07年)、林一磨さん(18年)に続く4人目。

月形市長に受賞を報告した松﨑さん(中央)と妻・瑠美さん

 麦作共励会は麦の栽培技術や品質の向上、経営改善などを目的に毎年開かれている。今回の農家の部には、全国から45点の参加があった。

 同社は本年度、48・6ヘクタールで小麦3品種、ビール麦1品種を作付け。畑の大区画化や排水対策の徹底により、10アール当たりの収穫量は、うどん専用小麦「チクゴイズミ」が423キロ(JA糸島平均390キロ)、ラーメン専用小麦「ちくしW2号」が523キロ(同403キロ)、パン用小麦「ミナミノカオリ」が330キロ(同295キロ)、ビール麦「はるさやか」が266キロ(同265キロ)と、いずれも平均を上回る。

 同社は従業員5人を常時雇用。乾いた土地を好む麦のため、水の通り道となる暗渠(あんきょ)や明渠(めいきょ)を施し畑の水はけをよくしている。

畑で麦の生育状況を確認する松﨑さん

 麦の成長を促す麦踏みは、畑ごとの生育状況や天候に合わせて回数や時期を調整。自ら連結した大型ローラーで作業したり、畦(あぜ)などを取り除いて畑を団地化したり、赤かび病などの病害虫駆除にドローン(小型無人機)やトラクターの自動操舵(そうだ)システムを導入したり。

 作業の効率化により、10アール当たりの労働時間は平均3・0時間と、県平均の5・7時間の約半分となっている。

 同社はスマート農業技術を積極的に取り入れることで、さらなる省力化と生産コストの低減を図るとしている。
 また、6次産業化にも力を入れており、表作の大豆や米を加工して納豆やきな粉、もちなどを販売。地域の畜産農家と共同で生産した堆肥を使うことで、化学肥料を減らしたり、飼料用米を育てたりと、耕畜連携も進める。

 畑で栽培する枝豆を参加者が収穫し、その場でゆでて糸島産大麦を使ったビールとともに味わうイベント「糸島ビアファーム」も人気。

 松﨑代表は「トラクターの自動操舵システムやスマート農業を導入することで、専門性がなければできなかった農作業を、新人でも熟練者並みにできるメリットがある」と説明。

 地域の若手農業者のけん引役として活動していることも高く評価されたことについて「プレッシャーを感じる」としながらも、「SNSや農業体験のイベントなどを通して、皆さんに農業のリアルを感じてもらい、農業者がどんな思いで農作物を作っているのか、そのストーリーを伝えていきたい」と今後の意気込みを語った。

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この記事を書いた人

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