【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.63(3/8号掲載)

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中低温ではカビに注意

 5日は農業暦の「啓蟄(けいちつ)」。冬眠していた虫たちが土から顔を出す目覚めの季節。私たち人間以上、昆虫たちは季節に敏感だなと感心します。また、15日は「社日」。生まれた土地の神様「産土神(うぶすながみ)」に感謝を捧げて祭る日で、その土地で生まれた人々の一生を見守り、特に土地神として五穀豊穣の「食べる運」、つまり家計を守護してくださるともされてきました。土の昆虫も、古来の食に対する文化も大切にしないといけませんね。

 さて、農業、家庭菜園では、春キャベツ、ブロッコリーなどの苗定植、ホウレンソウなど葉物野菜の種まきと、園芸の仕事は、日中の時間が長くなるとともに、バタバタと忙しくなっていきます。今年は過去にない暖冬の年で、先月も気温が20度を超えた日もあり、一度に降る雨の量も尋常じゃなかったですね。

 それに伴って、中低温(15度前後)になると、作物にとって、ちょっと用心しておかなければならないことがあります。

 気温15度前後に加え、降水量が多く、湿度が高めで推移すると、作物の病害発生率がグングンと高くなっていきます。病害発生原因の大半は「カビの仲間」。例えば、洗濯物がカラッと乾かずに半乾きだと少しカビ臭く感じるあの状況。

 梅雨とまでいきませんが、曇天が続くとこの時期でも湿度が高まり、生暖かいとカビの仲間や細菌の仲間が作物に吸着し、細胞を破壊していきます

 特に注意すべき作物がタマネギとニンニク。前日まで美しい葉を維持していたのに、あっという間にタマネギの葉にネズミ色のカビが発生する「べと病」や葉の先端が白くなり折れる「疫病」。それに、ニンニクの葉に茶色の斑点が無数に発生する「さび病」や葉が黄色く筋が入ったように黄変する「葉枯れ病」。全てカビの仲間です。

 タマネギやニンニクに限らず植物全体、病害が一度発生すると、その後食い止めるのはなかなか難しいのが実情です。何せ、病害が発生したがる環境(曇天・中低温・多湿など)が続くと、植物の活性も衰え、免疫力も低下してしまうからです。つまり、病害が発生しにくい環境づくりを常に心がけることが大切です。

 では、どんな方法があるのか。先ず重要なのが「カルシウム成分」の補給。植物体内でのカルシウムの働きは▽根の伸長や炭水化物の移行に関与▽細胞内の核を守る細胞壁の強化▽組織強化による免疫力-などたくさんの働きがあります。

カルシウムがペクチン酸と結びつき細胞壁を強化

 補給のおすすめは、カルシウム専用肥料「畑のカルシウム」の施用。畑のカルシウムは▽水溶性で、水に溶けやすく、植物に吸収されやすい性質▽pH値が中性なので、アルカリ質などに偏らない▽硫黄成分を含むので、微量要素補給と辛味、うま味成分が高まるーなどの効果が期待されます。

 施肥量の目安は1坪当り100グラムを月に一度のペースえると良いでしょう。特に、現時点で生育しているタマネギやニンニク、石灰肥料の施肥を控えて管理するバレイショ、カルシウムの吸収量が多いトマトやピーマンなどのナス科野菜や、キュウリ、シュンギクなど幅広く適用するのが特長です。

 タマネギやニンニクの科学予防薬剤もありますが、先ずはカルシウムの補給を行なって、免疫力が高い栽培管理を行うことが重要です。

カルシウムが不足するとトマトの尻腐れやキュウリの葉が巻くカッピング症が発生しやすい

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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