二丈中3年生が生き方学習

世界の出来事に関心向ける

 さまざまな生き方に出会うことで自分自身や自分の生き方について考えを深める「生き方学習」の一環で、糸島市の二丈中3年生が2月28日、同市二丈浜窪に拠点を構える映画配給などを手がけるユナイテッドピープル代表取締役の関根健次さんに話を聞いた。現在の職業を志すまでの経緯や仕事へ込める思いなどに、卒業を控える79人は熱心に耳を傾けた。

生徒の質問に答える関根さん

 「大学の卒業旅行の途中、偶然訪れたガザ地区で世界の現実を知ったことが設立のきっかけとなった」というユナイテッドピープルは、社会の課題解決を目的に事業を展開。「映画をより良い未来のために」をキーワードに世界中から選りすぐった映画を配給する事業では、自主上映の機会を後押しする。

 関根さんの講演の前に生徒は、紛争地ガザ地区の日々の暮らしを記録した映画「ガザ素顔の日常」(2019年製作)を鑑賞し、パレスチナ・イスラエル問題について学習した。昨年10月から始まった戦闘が、厳しさを増すばかりの同地区。そこに暮らす人々に思いを寄せ「まずは知るところから。自分にできる小さなことでも行動に移していこうと思う」などと感想をつづった。

 同年代の息子をもつ関根さんは、「紛争はあるが世界がどんなに美しく楽しい場所か知ってほしい」と家族で世界を一周した時の様子もスライドで紹介した。「世界を旅する時に一番使う言語は?」「旅先での強烈な体験は?」などの生徒からの質問に「英語と身振り手振りのボディランゲージで思いは伝わる。伝えたいという気持ちが大事」。文化の違いを感じた体験として、インドでの強烈な客引きの様子や、電車のⅤIP席が屋根の上だったことなどを話し、生徒らは次々と出てくるエピソードに目を輝かせた。

 「働くとは何か」という質問には「『はたらく』とは(人のために動くことで)『傍(はた)を楽にする』という解釈もある。仕事は『志す事』だと思っている。どんな未来をつくりたいかを意識して、誰かのためになるいい仕事を選んでいってください」とエールを送った。

 「用意したスライドが通常の2倍の80ページになってしまった」という関根さんが「皆さんに最後にどうしても伝えたい」と映したのは、月から見た青く輝く、国境のない地球の姿。「いろんな視点を持って果敢に自分の人生を切り拓いて」と言葉に力を込めた。

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この記事を書いた人

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