ドクター古藤の園芸塾Vol.65【3/22号掲載】

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健全な生育に導くバイオス

 皆さん、バイオスティミュラントって、ご存知ですか? 「なんな、新しか、肥料のことな」「そんかたあ、聞いたことのなか」っとアグリのお客様の声。確かに、まだ耳にすることは少ないようですね。

 バイオスティミュラントとは植物刺激作用。肥料でもない、農薬でもない。新たなカテゴリー(分野)として植物生育を助長、安定させることができる素材として総体的に区分されています。

 今後の生産技術の一つとして、国が掲げる減化学肥料、減農薬を体系とした栽培が求められていきます。その鍵を握るのがバイオスティミュラントです。

 例えば、根の発達を促す作用や植物が持つ本質の免疫力強化、乾燥や曇天などの気候ストレスに負けない体力づくりなど機能性を高めるのが目的です。

空の曇りが晴れ間にかわる
炎天下になると急激に葉から体内水分を蒸発

 当JAが製品の実証データを基に、生育の経過が良く実績があり、糸島のプロの生産者や直売所出荷者、家庭菜園者の方などにすでに愛用されています「バイオスティミュラント」をご紹介いたします。

バイオスが働くと水分と養分を保持し、猛暑に耐える
さらに二酸化炭素を取り込み光合成を向上させる

 腐植酸液「ストラクチャー」

 作物の発根力を促進する優れもの。野菜や草花、花木、果樹類の苗定植や、移植時に植え付けた後、300倍の希釈液を与えると、根の伸長が促進し、初期生育が素晴らしく進みます。当JAアグリにて、一番販売力が大きい商品です。

左は「ストラクチャー1回施用。右は種まき用土のみ。2月3日定植、3月1日現在、生育に差がでている
当店一押しのバイオスティミュラント「腐植酸液 ストラクチャー」

 タキイ トレエース

 トレハロースの離水しにくい特徴を利用し、高温時の葉からの蒸散を抑制させるとともに、乾燥後の植物細胞やタンパク質の状態を安定化させ、細胞破壊などを最小限に抑えます。

 トレハロースを吸収した植物はしおれにくく、鮮度保持能力が高いのが特徴です。例えば、ミニトマトでの夏場の乾燥対策、劣化対策。キャベツの冬季の霜被害軽減など。

 ※トレハロースは天然の糖質で、人工甘味料ではありません。きのこや酵母、海藻類、エビなど私達が普段口にする食品に、もともと含まれているものです。

 食品添加物として使われるトレハロースの主な原料は、ジャガイモやトウモロコシのでんぷんです。安価に抽出できる方法が確立したことから、食品をはじめ医薬品や化粧品などさまざまな分野で用いられています。

 ボトキラー水和剤

 有効成分は納豆菌と同じグループの菌、ハチルス・ズブチリス(和名=枯草菌)です。微生物の力で、植物の病気の元、悪玉菌を抑制する優れもので、人畜に影響が少ない商品です。

 シャープな防除効果を求めることは難しいですが、有機栽培としても利用でき、環境に配慮した防除剤です。

 バイオスティミュラントは「BIOS(バイオス)」とも呼ばれ、多様な商品も増え、プロの生産者を中心に利用が急速に拡大しています。植物の生育を肥料などの栄養に頼ることなく、植物本来の生育を引き出すのがバイオス。健全な生育に導くと薬剤の使用も軽減可能です。

 植物も私たちの体と一緒で、腸内細菌や骨格細胞、免疫力などの良い環境づくりが健康管理の礎となります。皆さんと一緒に健康な体と楽しい園芸を頑張っていきます。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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