中古物件の掘り起こしへ

糸島市 住宅ニーズバンク開設

マッチングへ“見える化”

 糸島市は、市内で中古の戸建て物件を探している人と、空き家の所有者とをつなぐサイト「戸建て住宅ニーズバンク」の運用を開始した。物件を探している人が間取りなどの条件を先に登録することで、空き家の所有者の「古すぎて欲しがる人なんていないだろう」といった心配を払しょくし、市は「空き家の売り手や貸し手の掘り起こしにつなげたい」としている。市によると、物件を探している人の側からアクションを起こすニーズバンクの取り組みは、全国的にも少ないという。

 糸島市の人口は2016年以降、年々増加傾向にあり、人気の移住先となっているが、市への移住希望者からは「中古物件がなかなか見つからない」との声も多く聞かれる。

 市が22年度に実施した調査では、市内には空き家が1,075戸あり、うち75%が簡単な修繕で利用可能であることが分かった。

 23年度に市が空き家の所有者約1,000人に行ったアンケートでは、回答者(437人)の8割が「空き家を利活用したい」と回答。反面、「自分の物件は古くて売れるとは思えない」、「そもそも売れる価値があるのかが分からない」、「近隣に迷惑がかかるので、誰にでも売ったり貸したりしたくない」、「売りに出していることを近所の人に知られたくない」などの課題があることも浮き彫りになった。

 一方、市の移住相談窓口では「建物の状態が悪くても、自分たちで手を加えて中古物件に住みたい」や「山間部や海の近くの古民家のような物件がほしい」、「田んぼとか畑付きの物件を探している」などの相談があるという。

 市コミュニティ推進課は「中古物件は圧倒的に供給不足。物件を探している人のニーズを“見える化”することで、マッチングにつなげたい」と説明。空き家と空き家予備軍の市場流通を促し、空き家にしない予防策として同サイトを開設した。

 戸建て住宅ニーズバンクでのマッチングまでの流れは、①物件を探している人(ニーズ登録者)が、希望するエリアや間取り、購入(賃貸)希望価格などを登録し、同サイトで公表。名前は、ニックネームでも可②物件の所有者が、サイトを閲覧し、「こんな家族に使ってほしい」と思った場合、同課に連絡。ニーズ登録者のマッチングを申し込む③物件の所有者が指名したニーズバンク登録宅建業者を介し、両者で条件面などを交渉し、物件の売買や賃貸契約をする-となっている。

 同課は「移住相談者にニーズバンクへの登録を勧め、空き家所有者にはサイトを閲覧してもらえるよう誘導し、マッチングに努めたい。今年度はまず、ニーズ登録者の募集を強化する」としている。

ニーズバンクHP https://itoshimalife.city.itoshima.lg.jp/live/needsbank/system/

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