芥屋かぶの漬物に舌鼓

関係者が交流会開催

 江戸時代の文献に名前が残る糸島の伝統野菜「芥屋かぶ」。その伝承に協力する個人や団体が3月28日、芥屋区公民館で交流会を開いた。

 糸島農業高校の地域イノベーション同好会は、芥屋かぶの栽培技術の研究結果と地元小学校の児童との栽培交流について活動報告をした。絵を描く野菜ソムリエとして活動する吉田聡さんは芥屋かぶTシャツを持参。その他、栽培に取り組む若手農家や漬物業者などが、それぞれの立場から芥屋かぶとの関わりを語った。

「漬物おいし~」と高校生から声が上がった

 同校の取り組みは、農業を通してさまざまな社会課題を解決するアイデアや実践例を民間団体が表彰する、今年の「大地の力コンペ」で奨励賞を受賞した。福岡県を拠点にふるさと料理人として活動する藤清光さんは、伝統をつなぐ生徒たちの姿に「あなたたちは芥屋かぶの星!」と激励。藤さんと共に活動する食文化研究家の中山美鈴さんは「食材があって地域の料理があり、食文化がある」と説き「芥屋かぶの漬物を糸島の宝として受け継ぎ次世代へつないでいってほしい」と願いを託した。

 芥屋かぶは、根が少し曲がった勾玉(まがたま)のような形をしており、皮は首元を中心に紫がかった赤色で、漬物にして酢を入れると淡いピンク色になる。会場には、定番の甘酢漬けや海水漬け、粕漬などが並び、参加者はそれぞれの味わいに舌鼓を打った。福岡市内から同校に通う山上紗季さん(16)は「普段は漬物を食べる機会があまりないけれど、白ご飯にめっちゃ合う味。ご飯とお漬物がある日本に生まれて良かった」と笑みをこぼした。


糸農生が昨年収穫した芥屋かぶ。
ダイコンとカブを合わせたような独特な形をしている

 地元住民は「お正月には芥屋かぶの漬物があって当たり前。たくさん漬けては他の地区の人に手土産で持って行くと喜ばれた」とほほ笑み、作り手の中心が高齢化している現状に「次の世代を巻き込みながら地元で作り続けていかねば」と思いを新たにした。

 20年来活動を続ける地元の伝承者東紀子さんは「全国の伝統野菜を記録する在来品種データベースに掲載もされた。いろんな人の力と協力があってここまできた。あと10年で徳川将軍に献上されて300年。皆さんで守り続けていきたいですね」と気合を入れた。

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