苗の選び方
いよいよ、待ちに待った、春夏野菜の植え付けシーズンとなりました。ただ、焦りは禁物。南方系の外来種が多い春夏野菜は低温に弱く、早植えは危険なのです。比較的低温に強いトマトやウリ科の苗は、気候が安定する二十四節気の「穀雨」(4月20日)頃から植え始め、、ナスやピーマン、オクラなどの高温性野菜は「立夏」(5月5日)をめどに植えるのが基本。
早めに苗を買った場合は、この時季の急激な気温低下でやられないように外気温に慣らす順化を行ってから植えるのが賢明です。収穫を左右する苗選び。代表的な野菜をご紹介いたします。
【トマト】
本葉が7枚以上あり、先端に花芽が付いている苗を植えます。本葉が3枚程度の若い苗を植えると、肥料をどんどん吸収。葉や茎は立派になるのですが、逆に実は付きにくくなります。
【ナス】
長期間収穫可能なナスは高温好み。種まきから開花まで、60~70日もかかるほど、ゆっくり成長するのが特徴なので、定植後の初期生育は、ストレスをかけないようにするのがポイント。直径9センチのポリポットで育苗されている市販の苗を直径15センチのものに移植。一手間入れて、大きな苗にしてから5月上旬に畑に定植する方が、たくさん収穫量が期待されます。
【ウリ科(メロン、マクワウリ、スイカ)】
根の再生力が弱いため、本葉が3枚未満の若い苗を定植するのが基本。本葉が6枚以上ある苗の根は老化しており、定植後の根の活着が悪くなります。
【ピーマン】
植え付けは、1番花の咲き始めるころが最適。若苗は茂りすぎ、老化苗は活着不良となり、順調な初期生育は望めません。
【オクラ】
硬い種皮に覆われているので、一昼夜水に浸してからまきます。浮いた種は使えません。
一つ裏技。定植直前の苗に300~500倍希釈で薄めた液体肥料にポリポットごとジャブっと漬け込んで植えこむと、移植による根痛みから早期に回復し、初期生育が安定します。一押しです。
長く収穫を楽しめる春夏野菜。苗選びと初期生育に注視することで、収穫の喜びが一歩前進することでしょう。頑張ってくださいね。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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