【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.94(10/25号掲載)

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青空勉強会「地域生き物調査」

 糸島市新田で13日、「新田をよくする会」による地域生き物調査が開催されました。参加は、子供さんたちを含め約40人。農林水産省の交付金を受け、地域と共同して農地・農業用水などの保全管理と、農村環境の保全向上を行う取り組みの一環として実施されました。

 当日の主役は地域の子供さんたち。まずは、地域によって整備された水路に入り、子供さんたちが網をもって生き物を捕獲。夢中になってコイやその他生き物を獲り、大人も「太かばい」などと盛り上がって、子供さんたちをサポート。

水路で行われた生き物の捕獲

 次に捕獲した淡水魚や生き物を水槽に入れ、観察。私も特別講師として、子供さん向けにレクチャーしました。糸島生まれの私も、小さい頃から、近所の友達とちょくちょく川や水路入っては、魚や水生動物を獲っていました。コイやフナ、ドジョウ、ドンポ(カワアナゴ)、ハヤ(オイカワ)、ツガニ(モクズガニ)などたくさんの生き物を目にすることができました。

丁寧に調査する参加者

 さらにカワニナ、ザリガニ、タエビ、ヤゴ、ゲンゴロウ、ミズカマキリ、タイコウチ、メダカなど今ではなかなか見ることが少なくなった生き物もたくさん糸島の小川にはすんでいましたね。

 今回の水路生き物調査で一番多かったのが淡水魚の「カダヤシ」。よく調べてみると、その名の通り「蚊絶やし」のため、およそ100年前に日本に移入された外来種で、あらゆるところの水路に生息しているようです。私の子供の頃はいなかったのか、気付かなかっただけなのかよくわかりませんが。

 ちなみにカダヤシは、熱帯魚のグッピーと同様、卵ではなく仔魚を産出するので、水草などがないコンクリート製水路でも増えることができます。

 産仔期間は3~10月と長く、加えて、比較的汚れた環境にも強いとのこと。厄介なことに、カダヤシは攻撃性が強く、メダカの仔魚や稚魚を捕食してしまうため、メダカの減少にもつながっています(メダカは絶滅危惧Ⅱ類に選定されています)。このような理由から、特定外来生物に指定されているので、生きたままでの持ち出しは法律で禁止されており、注意が必要です。

 その他、ギンブナやタエビ、ヤゴ、コイ、ナマズなども捕獲。今回の青空勉強会では、子供さんから大人の方までに少し時間をいただき、「地域の生物多様性を守るために私たちができることは」をテーマにして、自然界の植物生態系に影響を与える「オオキンケイギク」や「アレチウリ」など特定外来生物の存在についてお話をさせていただきました。

 糸島の豊かな自然を守るためには、まずは、身近な環境変化に関心を寄せることが重要と思っています。今は情報技術が発達していますから、さまざまな画像や文献を調べることができます。温暖化が進むほど、外来性由来の生物繁殖がさらに加速する可能性がありますね。

 歴史があり、山、川、大地、海の自然豊かな環境と食の宝庫の糸島を守るためにも、今回のような地域での活動や勉強会は最も重要なアクションと言えるでしょうね。皆さんの手で、小さなことでもいいから、環境に優しいことを行っていきましょう。

 (シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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