直売所の魅力① 地元の旬を再認識
前回は、JA福岡市産直市場「博多じょうもんさん」をご紹介させていただきました。JA福岡市さんの特徴は、人口166万人の大都市の中、多種多様な農産物が生産されていることです。米麦はもとより、野菜、畜産、多品目の花卉(かき)類。柑橘(かんきつ)にブドウなどの果樹。
私のイメージでは、ダイコン、カブは有名で、ホウレンソウやシュンギクをはじめとした葉物野菜はブランドでもあるし、キャベツ、ブロッコリーも大規模に生産されています。
施設栽培も盛んでトマト、イチゴなどたくさん栽培されています。驚きは、高品質な生産物を出荷する生産部会、例えば春菊部会や金武かぶ部会など58組織あり、日頃から切磋琢磨(せっさたくま)、地元住民の方へ提供できる農産物生産に取り組んでおられます。
この時期に直売所に足を運ぶと、ありました。特産のカブにホウレンソウ、カツオ菜、大量のキャベツにブロッコリー。いろんな品種の切り花。お客様が鮮度やお買い得感がある野菜など吟味して、たくさん買い求めておられます。
そこで、私もカブ、ホウレンソウ、カツオ菜を購入し、料理が得意な妻に「みずみずしい野菜で、美味しくて割と手軽にできる調理法とかない」と言うと、ササっと作ってくれました。
まずは、ホウレンソウとベーコンと卵を使った定番「キッシュ」。キッシュ(キッシュロレーヌ)とは、フランス・アルザス=ロレーヌ地方に伝わる卵と生クリームを使った家庭料理で、温かい前菜としてもふるまわれるそうです。
フワッとした食感で、冬採りホウレンソウならではのうま味もあり、お酒のつまみにもなるし、お子さんにもおすすめです。
次にカブ。私が大好きなのが定番「カブのみそ汁」。太めに切ったカブのトロトロした食感とほんのりとした甘み。何とも言えないうまさです。胃腸を温め、冷えによる腹痛を予防すると言われています。ビタミンCも含まれており、冬の風邪予防にも効果的です。
寒さが厳しくなったこの時期の露地野菜。寒さに負けないよう、凍らいないよう体内につくられるでんぷんなどの栄養を糖分に変え、じっと耐えています。だからこそ、鮮度が高い直売所の野菜は、野菜本来のうま味を凝縮しています。
福岡都市圏には博多じょうもんさん市場のほか、たくさんの直売所が営まれています。JA糸島産直市場「伊都菜彩」、福吉ふれあい交流センター「福ふくの里」。JA福岡市東部「愛菜市場」、JA筑紫「ゆめ畑」、JA筑前あさくら「旬菜ひろば とまと」など。近隣で生産された農畜産物や近海物魚介類、加工品などご当地ならではの新鮮食材がそろっています。
農業生産者の高齢化、減少、さらに農地が集約された大規模生産へのシフト化に加え、近年の異常高温乾燥など、農業生産、直売所を取り巻く環境は、厳しくもなっています。
「身土不二」という言葉がよく使われます。食養運動のスローガンで、「地元の旬の食品や伝統食が身体に良い」という意味を表現しているとのことです。
老若男女、地元の旬を再認識することも、地域の活性化につながるものと言えます。今後も、各地の直売所が、地域に長く愛され、生産者も消費者も元気であり続けられよう願っております。
本年も多くの方々にお世話になりました。皆様、よい年をお迎えくださいますよう心からお祈り申し上げます。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
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