【糸島市】共助の備え 地域で強化

南風校区自主防災会4月発足

 「自分たちのまちは自分たちで守る」-。2011年の東日本大震災を契機に、糸島市全体で行政区を単位とする自主防災組織が設立された。阪神・淡路大震災では、生き埋めや閉じ込められた被災者の救助を公共の防災機関が行った割合はわずか1.7パーセントだったと報告されている(円グラフ参照)。災害はいつ発生するか分からず、その規模によっては道路の寸断や救助要請の集中により、公的支援(公助)だけでは十分に対応しきれない。そのため、地域住民同士が支え合う「共助」が重要となる。

出展:日本火災学会(1996)「1995年兵庫県南部地震における火災に関する調査報告書」より内閣府作成

 この「共助」の備えを地域の力で強化しようと、同市南風校区では2年にわたり20回以上の話し合いを重ね、「南風校区自主防災会」をこの4月に発足させる。

 自主防災会の立ち上げを主導する南風台5丁目行政区の野涯(のぎわ)卓也区長は、「市は指定避難所などを準備してくれるが、そこへ避難する人を送り出す体制は住民側が整えなければならない。命は自分たちで守るしかない」と強調する。

 同行政区では、全世帯をいくつかのグループに分け、毎年連絡網を更新している。名簿には家族構成や年齢、要支援者の有無、世帯人数、医療従事者の資格を持つ住民などの情報を整理し、個人情報の取り扱いにも配慮しながら、いざという時に活用できる体制を整えている。

 同校区の自主防災会準備委員会では、指定避難所や警戒情報、要介護者や支援が必要な住民の避難場所として提携する福祉施設など「行政の提供する情報を基に、地域の実情に即した避難計画をつくるための基盤を整備したところ」と野涯区長は語る。

 今後は、各行政区の自主防災会で「震度5の地震が来たら」「近くの雷山ため池が決壊したら」といった具体的な災害シナリオを想定し、誰が、いつ、どのタイミングで、どこへ避難するのかを検討する。

 「災害が少ない地域では、防災や助け合いの意識が薄れがち。共助を重視した自主防災会の活動を通じて、その意識を高めていきたい」。今後の課題は、地域全体で、持続可能な自主防災組織を築くことだ。防災訓練や備蓄管理などで関わるメンバーを増やし、広報にも力を入れながら「自分たちのまちは自分たちで守る」防災体制の構築を進めていく。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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