前原西中 挑戦し続けた軌跡振り返る
糸島市の前原西中学校出身で、パリ・パラリンピック柔道男子73キロ級(弱視)の金メダリストである瀬戸勇次郎さん(25)が13日、母校を訪れ、講演を行った。金メダルを胸に登場した瀬戸さんの、努力の歩みを止めず、挑戦し続けてきた軌跡に、在校生たちは熱心に耳を傾けた。

瀬戸さんはまず、自身の視覚障がいについて説明。視覚障がいを可視化するツールを使い、実際に自分が見えている世界を紹介しながら、生徒たちの理解を促した。また、視覚障がい者柔道の魅力や試合の様子、パリの選手村の雰囲気などをスクリーンに映し出し「試合に勝った翌日に食べたハンバーガーは最高においしかった」と、パリでの食事の思い出を語った。さらに「今食べたら、そうでもないかもしれませんが」とおどけて笑いを誘い、「蚊が多かった」など具体的なエピソードも披露。生徒たちは瞳を輝かせながら話に聞き入った。

講演のテーマは「夢を目標に」。瀬戸さんが「夢がある人は拍手で知らせてください」と呼びかけると、体育館には大きな拍手が響いた。ただ、漠然としていた『金メダルを獲りたい』という夢が実現したことについて、「夢を目標に変え、実現までの道筋を明確に描いたから」と力強く語った。「どの大会で何位になるのか、どういう勝ち方をするのか」などを緻密に計画し、得意技の強化や体づくりなど、すべてのステップを着実にクリアしたことで「何の疑いもなく試合に臨み、予定通り金メダルを獲ることができた」と振り返った。
生徒から「どうしても緊張してしまう場合、どうすればいいか」と質問が出ると「緊張は、予想できないことが起こる恐怖。人それぞれ理由が違うので、なぜ自分が緊張するのかを考え、さまざまな状況を想定して準備することが大切」と、後輩たちに優しくアドバイスを送った。
講演の最後には、生徒たちが瀬戸さんを囲んで記念撮影。同じ学生服を着ていた大先輩とのひとときに、笑顔の花が咲いた。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)