【糸島市】外国人材対象に歯科検診

歯痛理由の欠勤ケースを受け入れ

へいせいグループホールディングス

約80人の外国人材が働く「へいせいグループホールディングス」(糸島市)では、現場スタッフが歯の痛みを理由に欠勤するケースが見られたことを受け、外国人材を対象に、一般的な健康診断に加えて歯科検診を会社負担で実施している。同市で外国人材の働く場が増加する中、先進的な取り組み事例として注目されている。

 歯科検診は昨年6月から行っている。18日には、同グループ会社「環境技研」の1室で、来日2年目となるミャンマー出身の技能実習生ニー・ニー・トゥンさん(22)が初めて歯科検診を受けた。検診を担当した松本敏秀医師(67)との問診では、母国の様子や家族のことなどについて談笑しながら、次第に緊張がほぐれていった。

松本医師から母国のミャンマー語が飛び出し驚くトゥンさん(左)

 検診では、着色テストで歯の磨き残しを確認。その後、歯の模型を使ってブラッシングの仕方を丁寧に伝えた。診断の結果、歯科医院への受診を勧められたトゥンさんが「病院に行きたいけれど、どうしたらいいか分からない」と不安を口にすると、松本医師は「医療費の自己負担は3割だから、少しのお金と保険証を持って行ったらいい」と説明。検診結果を伝えるための用紙も用意するなど、同席する保健師とともに、事後のフォローにも力を入れる。

 「外国人労働者は、さまざまな不安や、それぞれに深い物語を抱えて日本にやって来ている」。ミャンマーで歯磨き指導などのボランティア活動を続ける松本医師は、日本では子どものころにはみんなが受けている歯科検診が、医療制度の未整備や文化的背景から他国ではまだ普及していない現実を伝える。

 さらに「予防は本人だけでなく、職場や企業にとっても大きなプラスになる」と力を込める。同社の担当者も「人材確保が課題となる今、健康サポートは会社にとっても重要な取組だ。欠勤が減り、仕事のパフォーマンスも上がれば、企業にとっても大きなメリット。そして何より、お互いの文化を知るきっかけになり、外国人材がより働きやすい職場環境につながればうれしい」と語った。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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