波多江小教員フィールドワーク
糸島市の波多江小学校の教員が、雷山空襲の遺跡を巡るフィールドワークを行った。実際に空襲のあった場所を訪れたことがない教員が多い中、毎年6月に行われる平和学習に生かそうと、5月30日に実施。11人が参加し、今も残る空襲の傷跡を目にして、戦争の恐ろしさを肌で感じた。

案内役を務めたのは「雷山空襲を語り継ぐ会」のメンバーら。月が水面に映ったことから誤爆を招いた可能性がある雷山大ため池や、爆風で頭部が飛ばされた地蔵が残る興福寺など、10カ所以上を約1時間半かけて歩いた。焼け焦げた痕跡が残る柱や壁を目にした教員たちは「うわー」と声を上げ、生々しい痕跡を食い入るように見ていた。
今年4月に糸島市に赴任した30代の教員は「資料館に遺構が保存されていることはよくあるが、まちの中にそのままの状態で残っているのに驚いた」と話した。
平和学習では、雷山空襲の実話をもとにした絵本や紙芝居を児童に読み聞かせることが多いという。教員の一人は「教員が実際に目で見たことを説明として補足することで、実話だと伝わりやすくなる。児童たちもより真剣に聞いてくれるのでは」とフィールドワークの意義を語った。
フィールドワークの開催を企画した、人権・同和教育を担当する森麟太郎教諭(37)は「空襲の跡がきちんと残っていて、当時の人々の姿が浮かび上がり、気配を感じるようだった」と語り、「今日自分が感じたことを、児童や他の教員にもぜひ伝えていきたい」と力を込めた。
ガイドをした同会の田中道和さんは「実際に現地に足を運び、想像することがとても大切。私たちの話を聞いた人が、また他の人に語り継ぐことで、平和への思いが広がっていってほしい」と話していた。
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