持続可能なブランドづくり発信
大同生命「どうだい?」がイベント
中小企業経営者向けのWEBコミュニティ「どうだい?」(大同生命保険運営)が6月26日、糸島市前原中央のコミュニティスペース「みんなの」で、「糸島に学ぶ!『地方創生・地域活性化の成功と秘けつ』」と題したイベントを開催した。いまや全国区ブランドとなった糸島の取り組みに学び、地域資源の活用やブランドづくりのヒントを共有する場として、全国の中小企業経営者に向けてオンライン動画を配信した。

登壇したのは、糸島漁協芥屋支所で「糸島産ふともずく」を生産する丸田陽一さんと、地域の作家とともに暮らしのものを発信する生活雑貨店「糸島くらし×ここのき」代表の野口智美さん。地元産品をともに育て、地域外へ届けるまでの地道な取り組みや、周囲と連携しながら築いてきた「糸島ブランド」の歩みを語った。
芥屋支所で3~4月にかけて収穫されるフトモズク。きれいな緑色と太くてつるりとした喉ごしが特長で、地元では「そうめんのり」とも呼ばれる。2001年、同市志摩の福の浦の漁師5人で養殖を始め、高校生との商品パッケージ開発や、市役所との販路拡大など、外部の協力も得ながら安定生産に向けて取り組んできた。今春初めて収量が10トンを超え、関係者で喜びを分かち合った。現在では、当初のメンバーからの入れ替わりもありながら、水産高校を卒業したばかりの若者や、元ミュージシャン、福祉関係者など、異業種から転職してきた漁師も加わり、7人で生産に取り組んでいる。

丸田さんは「最初からうまくやれる人はいない。自分たちは子どものころから船や網に親しんできたけれど、新しく来た人たちは別の強みを持っている。自分たちにはない視点を持っているから、持ちつ持たれつでやっていける」と、温かく人を受け入れる姿勢の大切さを語った。

また、約70人の作家の作品を扱う「糸島くらし×ここのき」の野口さんは「自分は作り手と使い手のつなぎ役」と位置づける。「どんな思いで、どんな風に使ってもらいたいか。それが共有できる作家の作品を選ぶ」と商品への愛着を語った。
東京や福岡市内の百貨店などでの出店の際には、作家仲間とともに「どう展示すれば伝わるか」を相談し、チームとして発信力を高めている。「糸島ブランドと言われるけれど、糸島は糸島。他の地域もそれぞれが素晴らしい。ないものねだりではなく、自分の身の回りにある人・モノ・コトに気づくことが大事」と語った。
会の終わりには、ファシリテーターの黒木ヨウドウさんが「マーケティングの行き着く先は『愛情』なのだと感じた。経済合理性や派手な戦略に頼らず、身近な人との信頼関係や、自分たちの暮らしを見つめ直す謙虚な姿勢。そこにこそ、持続可能なブランドづくりのヒントがあるのかもしれない」と締めくくった。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)