「助け合うことで絆深めていく」
母国復興願い、今宿のムラートさんら募金活動
5万9千人以上が死亡したトルコ・シリア大地震(2023年2月6日発生)で、甚大な被害が出たトルコ南部のハタイ県の高校の校庭に、日本で集められた募金を使って図書館が建設された。トルコ出身で、福岡市西区今宿東在住のエンシジ・ムラ-トさん(49)が代表を務めるボランティアグループ「GOEN(ごえん)」が募金活動を行い、被災地復興へ向けて力を尽くした。3日に図書館の開館セレモニーが行われる。

ムラ-トさんは22年前に来日し、輸入販売業を営みながらトルコの文化を紹介する活動に取り組み、2011年の東日本大震災以降は日本各地の被災地に物資を届け、復興に向けた支援を続けてきた。1999年に起きたトルコ大地震で、日本が支援の先頭に立ったことを心に刻み、恩に報いたいとの思いを抱き続けていたという。
GOENは20年の熊本豪雨の後、それまで支援活動をしてきた仲間たちと結成。在福岡トルコ共和国名誉総領事の石原進さんが支援者代表を務め、親身となって活動を支えている。トルコ・シリア大地震では、発生の12日後に毛布やテント、寝袋などの救援物資を現地に向けて送り出した。このときは、熊本豪雨や熊本地震で、ムラ-トさんたちが支援してきた人吉市や南阿蘇村から、多くの「恩返し」の救援物資がGOENに寄せられ、被災地に届けられた。
GOENは、トルコ・シリア大地震の発生直後から、ムラ-トさんが九州各地で開いている催事会場や、知人などの店舗に募金箱を設置。企業からの募金の申し出があったり、宮崎県串間市の福島高校の生徒たちが募金活動をしたりし、今年4月までに623万円が寄せられた。
GOENによると、トルコ・シリア大地震では、約17万棟の家屋が倒壊、400万人近い子どもが学校を失ったとされる。ハタイ県では210の学校が倒壊したという。ムラ-トさんは、GOENの活動支援者であるトルコの元国会議長を通じ、トルコ側が必要としている支援を確認。この結果、ハタイ県では、多くの図書館が倒壊しており、子どもや一般市民が読書の機会を復活できるよう、募金で図書館を建設することになった。建設に向けては、首都アンカラにある教育文化健康財団の協力が得られた。
図書館は「GOEN図書館」と名付けられ、耐震性のある木造平屋建てで55平方メートル。蔵書はトルコ側が用意し1200冊。図書館の建設費は447万円で、集まった募金の一部は被災者のための木造住宅1棟の建設費に当てた。
ムラ-トさんは「日本とトルコは、大きな災害が起きた時、お互いに助け合い、両国の結びつきを深めてきた。募金活動によって、多くの人が力を合わせて図書館をつくることができ、その思いが被災地の人たちに伝わると思う」と話していた。
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開館セレモニーには、ムラ-トさんや在トルコ日本国大使館、ハタイ県、財団の関係者が出席する予定。現地とアンカラをオンラインで結んで行う。3日午後10時開会で、日本でもズームで視聴できる。GOENのホームページにリンクを用意している。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)