イラストレーター 瀬知エリカさん(50)
糸島生まれ、糸島育ちのサリーこと友納美千代が、糸島出身で、首都圏でご活躍の方々にこれまでの人生を振り返り、古里への思いをお聞きするコーナーです。イラストレーターの瀬知エリカさん(50)=東京都墨田区=のお話の3回目。最終回となる今回は、今春、母校を訪ねられた時の思いなどをお聞きしました。
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イラストの仕事は、基本的に依頼があって進めるものです。本や雑誌、番組など、たくさんの人が関わる中で「どんな絵が必要なのか」を想像し、自分の絵がその世界にどう寄与できるかを考えます。すでに私の絵を見て発注してくださるので、方向性はある程度決まっていますが、それでも毎回新しい挑戦があります。そのたびに、自分の引き出しが増えていく感覚が楽しいのです。
面白いことに、描いてみると最初に思っていた通りの絵にはならないことが多くて。でも、それが逆によかったりもする。見る人によって反応もさまざまで、それがまた楽しいのです。私はいつも、ただ課題に応えるのではなく、「いい意味で裏切れる」ような、余白を持った絵を目指しています。たくさんの人と関わりながら絵を描くことが、私はとても好きです。
今年の春、私が絵を担当した絵本『売り声図鑑』を、母校・可也小学校の図書館に寄贈させていただきました。訪れたとき、三宅校長先生が校舎を案内してくださいました。卒業してから38年ほど経つのに、変わらない場所がたくさんありました。

実は、よく夢に出てくるんです。小学校の校舎の中を歩く夢。夢の中で見た廊下は、現実でもそのままでした。小学校から実家まで、歩いて帰ってみました。「私はここで育ったんだ」と、あらためて実感しました。そして思ったのです。「都会には負けていられない」と。でも、私は昔から競争が苦手です。どうやって競争せずに生きていけるかを、ずっと模索してきた気がします。

成功が何なのかは、今も分かりません。けれど、この世に生まれたからには、くよくよせず、一生懸命に、楽しく生きたい。それが私の変わらぬ想いです。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)