11町で組織、継続的な運営体制に
糸島市・前原地域の伝統行事、前原山笠の継続・発展を目指し、前原山笠振興会(瀬戸章治会長)が発足した。振興会は、地元の老松神社の氏子で構成する11町の代表によって組織。従来の当番町による輪番制の運営を、継続的な体制に切り替えることで、山笠の舁(か)き手不足など直面するさまざまな課題を克服し、前原山笠の伝統を守り継いでいく。

前原山笠は、夏の暑さによる病気や、事故に遭わないよう山笠が町を回り、疫病や災害を払う祭り。現在は11町のうち、9町から大人山笠が七基、子ども山笠が九基出て糸島警察署前をスタート。勢(きお)い水を浴びながら勇壮に町を駆け抜ける。始まった年代は明確ではないが、戦後間もない頃には催されていたとの記録があるという。7月24日に火伏地蔵尊、25日に老松神社にそれぞれ奉納されていたが、2023年以降は猛暑続きなどを配慮し、25日のみの開催となっている。

山笠の開催にあたっては当日の運行の仕切りだけでなく、道路使用許可の申請や関係機関との協議、舁き手確保のための協力依頼など、さまざまな準備が必要。これまでは、9町の持ち回りによる当番町が運営を担ってきたが、継続して一貫的な取り組みを行うには、11町全体で組織を立ち上げるべきとの提案が昨年度の前原山笠後の11町山笠反省会で出された。これを受け、準備会が立ち上げられ、今年8月までに7回にわたって検討会議を開催。全町の同意を得た上で振興会が設立された。
振興会は、広報班と運営班の二つを設置。広報班は、ポスターや、協賛返礼品などにする前原山笠関連グッズの作成、コース沿道をペナントで装飾する検討などを行う。運営班は、会場設営やコース設定など山笠運営の全般に携わる。舁き手確保の強化策として、来年度は糸島高と併せて、糸島農業高にも生徒の参加をお願いするという。瀬戸会長は「伝統行事を発展させることで、地域づくりと前原市街地の活性化に貢献していきたい」と決意を語った。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
